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(2)茶席の風情

茶菓子の味わい 景観に色添える
藩主自慢の雪景色。庭は静寂に包まれる
 額縁のように囲まれた庭の向こうに天守閣がそびえる。玄宮園の茶室「鳳翔(ほうしょう)台」からの眺めは藩主が客をもてなす自慢の景観だったという。
 太鼓門櫓(やぐら)前の聴鐘庵(ちょうしょうあん)と彦根城博物館の能舞台そばにも茶席があり、景色ばかりか茶碗(ちゃわん)や書、一輪差しの生け花にそれぞれ風情がある。「お抹茶一服五百円」と案内板はあっさり記しているが、茶菓子が彦根の代表的な銘菓ということまで宣伝しないのが奥ゆかしい。
 鳳翔台が出す「埋(うも)れ木」は、もちっと弾力ある求肥(ぎゅうひ)にまぶした抹茶の色合いと渋みが枯淡のおもむきを伝える。聴鐘庵の「金亀」は小豆を寒天でとじ、表面をさっくりと乾燥させた食感に気品がある。素朴なユズ味の「たちばな」に変わる日もある。博物館ではウグイスや桜など月替わりの題材で、創作菓子の趣向をこらしている。
 茶人として「一期一会」の語を残した井伊直弼はじめ彦根藩主は茶道を重んじ、菓子の文化もはぐくんだ。歴史に根ざした名の由来や姿、風味、口当たりが、茶席で過ごすひとときを引き立てている。
【2007年3月13日掲載】