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(7)たそがれ時の桜

光に淡く浮かび 幻想的な雰囲気
夜のとばりが下りる前、ブルーブラックの空に桜が浮かび上がる
 国宝・彦根城築城四百年祭に合わせて、桜のライトアップは中堀沿いへと例年より範囲が広がっている。光にこうこうと照らされた花と深い闇の対比も美しいが、夕暮れ時、刻々と移り変わる空色に映える姿はひときわ幻想的な雰囲気を醸し出す。
 いろは松の入り口付近に立つ。天守閣や佐和口多聞櫓(やぐら)の向こうの空があかね色に染まり、たそがれが辺りを包み始めるころ、花は光に淡く浮かび上がる。深い青から、紺色に変わった空は、群青へと次第に濃さを増し、漆黒に染まってゆく。
 季節や天候、大気の状態によって色の変化はまるで異なり、どんよりとした灰色のまま暗くなってしまう日も少なくない。好天が数日続いた後、空気がややかすみ気味で風のない晴れた日がふさわしい。今の時期なら午後六時四十五分ごろからほんの十数分間、深い青色の空を背景にした桜が、鏡のように静かな水面に映る。
 「春宵(しゅんしょう)一刻値千金」。歌舞伎や漢詩に取り上げられたような絶景に酔うことができる。
【2007年4月17日掲載】