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(12)湖東焼の再興

結実しつつある多くの人の願い
かつての技法を用いて再興湖東焼が生み出される
 足軽屋敷の面影が残る芹川右岸の一角にある工房で、陶芸家中川一志郎さん(四九)が絵付けを施している。素焼きした茶碗に、繊細な筆遣いで琵琶湖の風景を描いていく。
 七十年足らずで幕を閉じ、「幻の焼物」といわれていた湖東焼の魅力に引きつけられ、二十年越しで再興に取り組む。青みがかった乳白色の特徴的な素地を再現し、染め付けや赤絵金彩など繊細な絵付けを施した作品を生み出している。「過去の模倣に終わらず、平成の湖東焼を表現したい」と話す。
 国宝・彦根城築城四百年祭が開幕した三月下旬、幕末期に湖東焼が発祥した芹川左岸の中薮町で、NPO法人(特定非営利活動法人)「湖東焼を育てる会」が登り窯を築いた。初窯では中川さんの器をはじめ、築造事業に協賛した市民四百人の陶芸作品も焼かれた。同じころ、中川さんが作る「再興湖東焼」が、県の伝統的工芸品に指定された。
 湖東焼を現代によみがえらせるという一人の陶芸家と多くの市民の願いが、実を結ぼうとしている。
【2007年5月22日掲載】