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(21)カルガモの親子

豊かな自然環境で生を営む動植物
黒門前を歩くカルガモの親子。カラスは恐れても、ヒトはそれほど警戒しない
 城のほぼ北端に位置する山崎郭(くるわ)の石垣沿いで、野生のカルガモが子育てをしている。外敵の危険にさらされながらも、柔らかな羽毛のひなが日ごとに成長している。
 ひなは生後二十日−一カ月ぐらいとみられ、外敵から隠れるように水草の間で過ごしていた。七月中旬には親鳥の後ろについて四羽が水辺に出るようになった。泳ぐ範囲は約三百メートル離れた黒門付近へと次第に広がった。そんな矢先のある朝、一羽の姿が消えた。その日の親鳥はカラスやトビの気配を察すると首を伸ばして鋭く鳴き、水草に逃げ込むひなの姿が何度も見られた。
 最近では、親鳥が約八百メートル離れた表門までひなを引き連れて往復することもある。高さ五十センチほどの岸に上がるしぐさもひなの目の前で繰り返し実演した。数十回の失敗を重ねた末、ひなは石を伝って登った。今では黒門付近の土手や堀端の道をよちよちと歩く姿も見られる。
 彦根城は、歴史遺産や観光地としての役割だけでなく、豊かな自然環境で数多くの動植物が生を営む場になっている。
【2007年7月31日掲載】