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(29)堀端のヴォーリズ洋館

だんらんの場 交流の拠点に
ヴォーリズは、周囲の景観や自然との調和にも心を砕いたといわれる
 琵琶湖から風が吹き渡る内堀沿いに、落ち着いた風情の二階建ての洋館が二棟立つ。涼しげな木立ちの影が壁に映る。堀越しに見える旧米蔵の門ではコクチョウがのんびりと羽を休め、頭上を見上げると、西の丸の白亜の櫓(やぐら)がそびえている。
 大正末期、滋賀大の前身に当たる旧彦根高商の外国人教員宿舎として建てられた。米国出身の宣教師で建築家として名高いウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計した。ヴォーリズは建物の設計に、人びとが心身ともに健やかに暮らし、人間愛をはぐくむ場になる願いを込めた、とされる。
 堀端の洋館は、存続の危機を迎えた五年前に市が取得した。「ひこね市民活動センター」として数多くの市民団体メンバーが運営し、見学者にも内部を開放している。屋形船の運航や「ひこねを盛り上げ隊」など築城四百年祭を支える人たちの活動や交流の拠点にもなっている。家族のだんらんの場として設計された部屋で、多くの人たちが集い、語り合う。そんな姿を最も喜んでいるのは、天国のヴォーリズかもしれない。
【2007年9月25日掲載】