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(30)「彦根屏風」の公開

大名文化と対極 遊里の世界題材に
6面に切り離されていたが、修理で屏風の形に復元された
 背景を一切描かない金箔(きんぱく)に、小粋なまげを結った「かぶき者」や華やかな小袖姿の遊女が洗練された綿密な構図で配されている。ほつれ毛や小袖の絞り、質感など極限まで繊細な筆致が見る者を圧倒する。筆力や表現力が最高水準であることを示しながらも、作者は分かっていない。
 近世風俗図の代表作とされる「彦根屏風(びょうぶ)」は二年越しの修復を終え、先月二十八日から今月二十六日まで彦根城博物館で展示されている。
 井伊家伝来の名宝のなかで、この屏風は唯一、ミステリアスであやしい光を放っている。大名文化は社会の秩序を基盤として格式や様式美、実直さを重んじるのに対し、彦根屏風はその対極にある遊里の世界を題材にしている。人物のしぐさや表情は物憂げな雰囲気を漂わせ、社会に背を向けるかのような退廃的な空気に包まれる。
 博物館によると「幕府の支配体制が強化された寛永年間の時代を映し、この図ほど人間の深い心理を表現している例はない」(学芸史料課)という。
【2007年10月2日掲載】