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変わる自治会

顔の見える関係 求めて
住民が交流を深める夏祭り。地域づくりには、人と人とのきずなが欠かせない(京都市左京区)
 「ようけとったなあ」。真剣な顔で金魚すくいに熱中する子どもたちを、男性が目を細めながら見守る。
 二十二日にあった修学院第二学区(京都市左京区)の夏祭り。子どもたちが演奏する太鼓にお年寄りが手をたたき、一緒に大道芸も楽しんだ。八年前、修二小の四十周年記念でPTAが始めた夏祭りは、社会福祉協議会や自治連合会に主催団体を変えながら続く。PTA会長も務める修二学区自治連合会の大塚正文会長(四七)は「地域のつながりを何とかつくっていきたい」と話す。
 修二学区約五千世帯のうち、自治会に加入しているのは二千世帯足らずだ。学生マンション住人の未加入や高齢者の脱退もみられる。会長を、くじや輪番制で確保する町内もある。

役員候補不足も

 大塚会長は複数の役を兼ね、仕事を終えて午後十時ごろ帰宅してから自治連の仕事に取りかかることもある。決して苦痛とは思わないというが、連合会長を引き継ぐ人がいないのが悩みだ。
 ボランティアで務め、防災や福祉といった地域での課題が増え、なり手が見つからないところもある町内会長や自治連合会長。時代の流れで、個人情報の管理も大きな負担の一つだ。
 「町内会長から頻繁に電話がかかってきて大変です」。今期、月輪学区自治連(東山区)の会長を務める吉田健治さん(七三)は、ため息まじりに話す。今年初めて町内会長を引き受けたが、思わぬ流れで自治連会長にまでなってしまった。大役に戸惑いながら、募金への協力要請、住民アンケートの実施、苦情への対応などを通じて個人情報にも触れる。気苦労は絶えない。
 かつては市内では何年も同じ人が町内会長や自治連合会長を務めるケースが多かった。一部の自治連会長の中には「毎年、町内会長が変わるのでは、安易に障害者などの名簿を渡せない」「年交代の町内会長で、名簿への連絡先掲載を拒否する人もいる。仕事を避けたいのではないか」との意見もある。
 地域の結びつきがかつてより弱まってきたといわれる京都市内。だが、新しい動きも出ている。
 弥栄学区(東山区)の四条通南側にある五町でつくる任意団体「祇園町南側地区協議会」。まちづくりのためのNPO法人(特定非営利活動法人)をつくり、転入希望者に氏名や前住所、連絡先の提出を課し、事前審査を行っている。「自分たちのまちを大切に思っているからこそ、どんな人かよく分かってから受け入れたい」
 下京区のある学区では、各町内会長の名簿と電話番号をインターネット上で公開している。「引っ越してきたマンション住民が、地蔵盆やあいさつ回り、町内の風習などを知る『とっかかり』にしてほしい」と広報担当の自治連役員は話す。
 この役員が住む二十数軒だった町内では五年前、六十戸の新住民が生まれた。マンションの地下駐車場を会場に新旧住民を招いた「歓迎会」を開き、地域のきずなづくりに取りくんだ。「そういった場でできるつながりが一番大事」と役員は話す。

祭りでふれあい

 修二学区の夏祭り会場。学区内の住民が出す出店には、夕立の中でも長い列ができていた。「はい、おまたせ」と笑顔で綿菓子を手渡す女性。見知らぬ顔にはにかみながら笑顔を返した子どもが、友達の輪へ駆け戻っていく。
 顔と顔のつながりが、地域のきずなとなっていく。

(おわり)

自治連合会長らのアンケートから

■事例1■町内会長も半数くらいは義理か役でしている人のように感じる。毎年変わる状況でうまくいかない。
■事例2■金や時間を使い、ただでさえ役員のなり手がないのに、個人情報保護の責任まで負わされてはなり手がなくなる。