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「新たな景観政策」案を発表

屋上広告を全面禁止 点滅照明使用も
 京都市は二十四日、都心部の「田の字」地区だけでなく市域全域で建築物の高さやデザインを規制する「新たな景観政策」案を発表した。高度地区で最高四十五メートルの高さ規制を廃止して三十一メートルに抑制、新たに十二メートル、二十五メートルを追加して六段階に再編するほか、町家が数多く残る西陣地域などで二十メートルから十五メートルに引き下げる。建物の外壁色彩基準も明確化し、屋上に設置する屋外広告も市域全域で禁止する。市は都市計画変更や関連条例を改正し、来年度の早い時期に実施していく方針だ。
 市は歴史都市・京都の現状保存に向け、国から特別な財政支援などを受ける特別措置法制定を目指しており、景観保全策は特措法を実現する「切り札」になる。すでに、「田の字」地区で高さを四十五メートルから三十一メートルに抑制したり、世界遺産(十四社寺)からの眺めを保全する新条例の制定を打ち出している。
 今回、これらの規制策に加え、市域全域で建物の高さやデザインの規制改訂の全体案をまとめた。高さ規制の見直しでは、市内の市街化区域約一万五千ヘクタールのうち、三割強のエリアで最大十六メートルから二メートルの範囲で現行規制より低く抑え、ビルの屋上に設置される塔屋の高さも現行「八メートル以下」を「四メートルまたは三メートル以下」に規制強化する。
 また、美観地区で設定している五種類のデザイン規制を六種四十地区に再編し、水辺や山すそなど各地区で街並みに調和した色彩にするよう誘導する制度も整える。
 一方、屋外物広告については、ビル屋上に設置された看板のほか、点滅照明の広告物の使用を全面禁止する。既存広告物は一定の許可期間を設け、それを過ぎた場合、撤去を求めていくという。
 京都市は二十七日から市民への見直し案閲覧を始め、約一カ月間意見を募った後、屋外広告や風致地区など関連条例の改正や、来年三月に都市計画変更を求め、市都市計画審議会に諮る予定。

6地域区分 特性を加味 デザインも厳しく

 京都市が24日発表した新たな景観政策は、北大路、東大路、九条、西大路通で囲まれた「歴史的市街地」、三山の山すそに近い「三方の山々の内縁部の住宅地帯」など市内を6地域に区分し、さらにその中で、住宅地や商業地、世界遺産の社寺の周辺など特性別に細かく地域を分けて建築物の高さやデザイン基準を厳しくした。

歴史的市街地 田の字地区を美観指定

 まず、山間部を含む「三方の山々と山麓部周辺」では上賀茂神社(北区)や仁和寺(右京区)などの世界遺産周辺で高さを二−三メートル引き下げて十−十二メートルとし、日本瓦など和風デザインを義務化する。岩倉地域などでは幹線道路沿いを三メートル下げて十二メートルとして、こう配屋根の設置を求める。
 「三方の山々の内縁部の住宅地帯」では、大宮、鹿ケ谷、桂など山すそに近い住宅地で高さを三−五メートル引き下げて十二−十五メートルとする。幹線道路沿いも三−五メートル低くして十二−十五メートルとして、住宅地と幹線沿いの高低差を縮める。鴨川や高野川など水辺でも高さ十二メートルに下げ、川側の植栽を義務付ける。
 また、「歴史的市街地」では、都心の幹線道路沿いの「田の字」地区は高さ三十一メートルの規制に加え、新たに全エリアを美観地区指定し、歩行者空間の確保やショーウインドーの設置を求める。幹線内側の職住共存地区や、西陣地域、西本願寺周辺、伏見区の中心部でも高さを五−十六メートル引き下げる。
 鴨川西岸の先斗町や木屋町では、川岸近くで高さ四十五メートル制限いっぱいまで建てたビルが迫っている。現状を改めるため、十二−三十一メートル規制に見直し、川から離れるほど高くなるように設定する。今出川、西大路、九条など幹線道路沿いでも高さを現行の三十一メートルから二十−二十五メートルに抑えるが、京都駅や二条駅などの周辺は高さ規制を据え置く。
 このほか、右京、南、伏見の各区で工場が多い「西部地域」「南部地域」では、増加しているマンションを対象に高さ規制を二十メートルに下げ、工場は三十一メートルまで認める。高度集積地区は当面、既存制度のままで今後、規制内容を検討する。
 一方、デザイン基準の見直しによる美観地区の再編では、地域の歴史や特徴ごとに「山麓(ろく)型」「旧市街地型」「岸辺型」など六種類を設定した。山麓型で「北白川・銀閣寺周辺」、岸辺型で「岡崎・疏水」など計四十地区別に細かな基準を設けている。携帯電話のアンテナや太陽光発電装置の設置でも高さや色彩を規制する。
【2006年11月25日掲載】