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「規制適格」へ建て替え支援

来年度実施へ 整備費を補助
 高さ規制の強化など京都市が導入を目指している新景観政策で、規制によって不適格となったマンションの建て替えに解体・設計などの整備費を一部補助したり、屋外広告物の企画や製作に助成制度を新設するなど、景観への配慮に対する市の支援策の概要が六日判明した。優良な景観を形成する建築物の高さ規制を「一ランク」緩和するほか、マンション建て替えに居住者の合意を得るため、専門アドバイザーも派遣する。市は関連条例の改正を急ぎ、来年度の早い時期に実施する方針。
 市の新景観政策では、市域のほぼ全域を対象に建築物の高さ規制を強化する。高度地区で最高四十五メートルを三十一メートルに抑えたり、町家が数多く残る西陣地域などで二十メートルから十五メートルに引き下げるほか、屋上の屋外広告も市域全域で禁止する。こうした規制の強化で「不適格建築物」が多数発生するとみられ、市は建て替え促進に向けて新たな助成制度を検討している。
 分譲マンションの景観に配慮した建て替え支援では、国の「優良建築物整備事業」補助制度に市が上乗せする形で、設計、解体、共同利用施設などの整備費を独自助成する制度を設ける。国土交通省とも協議しており、補助率などを早急に決める予定。
 建て替えに居住者の合意が得られないケースも想定されるため、弁護士らが管理組合などに助言し、相談に応じるアドバイザー派遣制度も新設する。さらに、良好な屋外物広告を誘導するため、審査を通じて意匠が優良と判断された物件の企画、調査、製作費などの助成制度も設ける。
 また、高さ規制は八メートルから三十一メートルまでの七ランクに再編する予定だが、市が設置する第三者機関の審査会で、意匠や設計が周辺景観と調和し、「優良」と判断された建築物については、高さ規制を「一ランク」緩和する特例措置も設ける。既存の不適格建築物にも適用される見通しだ。

<解説>建て替え助成 住民の不安解消へ

 京都市が、来年度から実施する高さ規制の強化で、「既存不適格」となるマンションの建て替え整備費助成などの支援策を固めた背景には、不動産関連業者や高層マンション住民らの間で募っている不安を和らげつつ、景観に配慮した建築物を誘導する狙いがある。
 市の推計では、市内全域での高さ規制強化によって既存不適格となるビルやマンションは約千八百棟に上る。景観保全には、これらの建物の建て替えを進めなければならず、所有者や居住者の同意が前提になる上、巨額の整備費が必要になる。
 建て替え助成は、整備費の負担を少しでも減らして適正な高さに誘導することを狙うが、今後は補助率をどう定めるのかが焦点になる。補助額が少なければ、市の思うように建て替えは進まないだろう。また、良好な景観を形成するためとはいえ、私有財産に税金を投入することを議論する必要もある。
 新たな景観制度の導入は、国レベルでの京都の街並み保全を目指す「京都創生」の実現にも弾みをつけるが、肝心の市民の関心が高いとは言い難い。住民や不動産業者の間では「資産価値が下落する」などの不安が根強く、市議会でも固定資産税の減収が指摘された。
 新景観政策では、「五十年後、百年後の京都の将来を見据える」という点が強調されている。しかし、現在の市民生活や経済活動に、果たしてどう影響するのか。市には、丁寧で納得できる説明をすることが求められる。
【2006年12月7日掲載】