京都新聞TOP > 政治・社会アーカイブ > 京都市新景観条例
インデックス

新景観政策修正へ

高さ規制強化やデザイン基準を見直す方針
 京都市は二十三日までに、建築物の高さ規制強化やデザイン基準を見直す新景観政策の素案を修正する方針を固めた。昨年十一月に公表したが、「駐車場が確保できなくなる」などの意見が寄せられたため、敷地の植栽面積基準などデザイン規制を中心に部分的な見直しを進め、近く修正案を本案として正式に決定するとみられる。市は新景観政策の実現に向けて二月市議会に関連条例案の提案を目指しているが、議会与党からも異論が出ており、修正によって理解を求めていく構えだ。
 古都・京都の保全を目的とする新景観政策は、中心区の「田の字地区」の高さ規制を四十五メートルから三十一メートルに引き下げるなど市域のほぼ全域で高さ規制を強めるほか、建築物のデザインや敷地の緑地率、屋外広告物の面積など基準を細かく定めている。
 昨年十一月の景観政策案の決定以降、市民意見を募ったところ、「狭い敷地では家が建たなくなる」「緑地規制が厳しく駐車場が確保できない」などの指摘が相次いだ。府宅地建物取引業協会や広告業界などは「規制強化で事業に影響が出る」と反発、与党市議からも「関連条例の提案は時期尚早」などの声が出ている。
 このため、担当の都市計画局で修正を検討し、市域のほぼ全域の三百平方メートル未満の敷地の場合は建築面積を除く敷地の30%、三百平方メートル以上は50%と定めた植栽面積基準や、勾(こう)配屋根に設けた「軒の出六十センチ以上、けらば(屋根の端)の出三十センチ以上」とする規定を見直すことにした。また、美観を特に重視する「景観地区」内で、建築物の外壁を道路や公園など公共施設から九十センチ離す基準も緩和する。
 市幹部は「高さ規制強化など新景観政策の大枠はおおむね市民から賛同が得られた。ただ、さまざまな意見が寄せられている。見直すべきものは見直し、議会にも理解を得ていきたい」としている。

実施優先し柔軟姿勢 業界など 予想超えた反発

 京都市が新景観政策の修正に踏み切るのは、京都府宅地建物取引業協会などから出ている反発を押さえる狙いのほか、二月議会で提案する新政策実現のための関連条例を、スムーズに成立させたいという市の強い意向が背景にある。
 昨年十一月に公表した新景観政策は「素案」とはいえ、景観破壊が進む京都の保全に向け「理想の策」として打ち出し、ほぼ本案として市民や市議会に理解を求めていく方針だった。
 しかし、予想以上に業界などから反発が強く、専門業者から「家が建たない」などの声が寄せられた。緑地を増やすための植栽面積基準も、敷地によって駐車場が確保できないケースが想定される。
 京都らしい町並みを形成するための勾配(こうばい)屋根設置義務も、「けらばの出三十センチ以上」などの規定によって、町家の保全がかえって難しくなる場合もある。建築物の外壁を道路から「九十センチ離す」という規定も、狭い敷地だと家が建てられないケースも考えられる。
 こうした指摘を踏まえた修正は「景観保全の理想」からやや遠ざかることになるが、より柔軟な姿勢を示すことで多くの市民から理解が得られる、と市は判断した。「規制の影響に十分に対応できず、条例提案は時期尚早」とする与党市議から賛同を得やすい環境が整うとみている。
 市は高さ規制など新政策の「背骨」を変えず、デザイン基準を部分修正した本案を近く公表するが、景観規制の各論は痛みを伴うだけに、なお、厳しい局面や曲折も予想される。

マンション住民 意見反映の場を 管理協が要望書

 京都、滋賀のマンション管理組合でつくるNPO法人(特定非営利活動法人)「京滋マンション管理対策協議会」(事務局・京都市下京区)は二十三日、建築物の高さ規制などを強化する京都市の新景観政策に対し、マンション住民も参加した政策協議の場を設置するように求める要望書を市に提出した。
 市の景観政策に「基本的に賛同する」としたうえで、大地震でマンションが被災した場合、同じ高さで建て替えることができず、入居できない住民が出てくると指摘。「憲法で保障された居住の権利がどのように担保されるか、景観政策では触れられていない」として、マンション住民の意見も反映できる協議の場が必要としている。

村田京商会頭 早期導入に賛意 「画期的試み」と評価

 京都商工会議所の村田純一会頭は二十三日の定例会見で、京都市が導入を目指す新景観政策について「京都のまちを再び美しくする画期的な試み」と評価し、早期導入に賛成する考えを表明した。影響を受ける不動産業界や住民の一部は反対しているが、市が予定している二月定例市議会への関連議案提案を支持する意向を明らかにした。
 新景観政策は、建築物の高さやデザイン、屋外広告などの規制を強化する内容。村田会頭は政策を提言した立場から「市議会で審議すれば詳細な中身が市民に伝わる。損する人も多少我慢してもらうことが市民合意になる」との見方を示し、「(規制逃れの)駆け込み建設が起きるため、決まれば(実施は)早い方がいい」と指摘した。
 また二〇〇八年主要国首脳会議(サミット)誘致の関連で、二十二日に政府関係者が京都を視察したことについて「しっかり京都をアピールできた。美しい国を掲げるなら首脳会合開催地は京都しかない。京都でやれば安倍内閣の支持率も上がるだろう」と述べた。
【2007年1月24日掲載】