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修正案発表

「壁面後退」 努力義務に 屋外広告 撤去猶予7年
 京都市の桝本頼兼市長は三十日、臨時会見を開き、新年度早々の導入を目指す新景観政策の修正案を発表した。見直したのは、昨年十一月に決めた素案のうち、美観地区の緑地基準や幹線道路沿道の「壁面後退」基準などデザイン中心の八項目。「基準が厳し過ぎる」など市民の意見を踏まえ、一定地区を除き緑地基準を「努力義務」とするなど一部規制緩和する。併せて、新景観政策施行に伴う不適格物件に対応する建て替え助成制度の新年度創設も明らかにした。
 新景観政策は、市街地の約三割を対象に高さ規制を強化、建築物のデザイン基準や屋外広告物面積なども細かく定め、京都らしい景観に配慮する。市は、昨年十一月に素案を公表、二月市議会に関連条例の提案を予定しているが、「狭い敷地では家が建たなくなる」「緑地規制が厳しい」などの指摘や与党市議からの異論もあり、修正に踏み切ることにした。
 具体的には、丸太町通など幹線道路沿道で「道路境界から壁面一メートル後退」とする義務規定を「努力義務」とした。植栽面積基準は「三百平方メートル未満の敷地で、建築面積を除く敷地の30%、三百平方メートル以上50%」と定めたが、美観地区全域から「山麓(さんろく)型」「岸辺型」地区に限定、他地区は努力義務にする。
 美観地区の勾配(こうばい)屋根の設置義務化では、壁から外側に出るけらば(屋根の端)部分の「三十センチ以上確保」を「原則」とし、数値設定は山麓・岸辺型などに限る。確保が難しい場合は例外を認める。公共施設から外壁を「九十センチ以上後退させる」との規定も例外措置を認める。
 新たな基準では違反になる屋外広告物も、撤去の猶予期間を最長六年から改善計画の提出を条件に最長七年に延ばす。
 桝本市長は「練りに練り上げた素案だが、かたくなに押しつけるものでない。柔軟に対応し、市民や議会の理解を得たい」と述べた。

助成融資 上限700万円 建て替え 相談体制整備も

 京都市が三十日、新年度創設を発表した新景観政策施行に伴うマンションなど不適格物件の建て替え助成制度は、一戸当たり七百万円を上限に低利の支援融資を行う内容となった。市は、同制度の預託金や、建て替えを支援する相談事業、屋外広告物の誘導策など新景観政策の導入に対応する施策の費用を、新年度予算案に盛り込む方針を明らかにした。
 市は、分譲マンション建て替え時には、住宅金融公庫の低利融資に加え、一戸当たり七百万円を上限に、公庫よりも低利な金利で追加融資する支援制度を創設する。このため、新たに四億五千万円を金融機関に預託し、五億六千万円の融資枠を確保するほか、国が建築物の建て替えで設計や解体費を補助する優良建築物整備事業も活用する。
 また、分譲マンションの建て替えや大規模改修を行う場合、管理組合の合意形成を促すため、建築士や弁護士など専門アドバイザーを派遣する経費として四百万円を計上し、相談体制を整える。
 一方、景観に配慮した優れた屋外広告物を誘導していくため、商店街など一定地域がまとまって優良なデザインを採用する場合、調査費や制作費を一部助成する経費として、新たに千二百万円を当てる。

「規制あいまい」と不動産や広告業界

 京都市が三十日発表した新景観政策の修正案に対し、事業に影響が出ると反発してきた不動産や広告の業界は「より規制内容があいまいになった」「到底納得できるものでない」など厳しい反応をみせた。二月議会で市が提案する関連条例案を審議する市議会から「これから議論する」と賛否の態度に慎重な姿勢を示す市議も多く、新景観政策の行方にはなお曲折も予想される。
 敷地内の緑化の義務化や道路境界から建物を後退させる規制強化に対し、問題点を指摘してきた府宅地建物取引業協会の川島健太郎副会長は、「努力義務などの表現を使い規制を緩めた内容だが、逆にあいまいになった。修正よりも撤回の方がすっきりする」と疑問を示し、協会としての今後の対応について「近く検討する」とした。
 また、「規制は死活問題」と反発を強めている府広告美術協同組合の上出晧一郎理事長は、市が新基準で違反となる広告物の撤去猶予を最長七年に延ばす修正に対し、「組合が求めていたのは十−十五年。一部修正ではとても納得できない」と受け入れに厳しい見方を示した。
 一方、市議会の与党会派は「市民の十分な理解が必要」として態度を明確にしていない。自民党市議は「まだたたき台。手直しは要る」と述べ、公明党市議は「修正は一定評価するが、今後も相当の議論が必要」と指摘した。民主党市議は「細かな修正だけでなく、将来を見通した戦略的な展望も足りない」と注文を付け、野党の共産党市議も「小規模住宅の建て替えで問題が残るのか見極めたい」としている。
 桝本頼兼市長は同日の臨時会見で、「二月議会までに市民の意見を精査し、さらに取り入れるものは取り入れる」と述べ、再度、修正もあり得るとの考えを示した。
【2007年1月31日掲載】