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眺望をひらく(3)

動揺 市議選にらみ与党も慎重
高さやデザイン基準の変更を決める市都市計画審議会。委員を務める京都市議の動向も注目される(1月31日、京都市上京区)
 年明け早々の一月四日、新春ムードの京都市役所(中京区)。巻野渡議長が星川茂一、毛利信二両副市長をひそかに議長室に呼んだ。「景観保全はよいが、規制によるリバウンドを考えているのか。対処する方法がないと、議会はすんなりとはいかない」
 巻野議長のところにも、昨年十一月に市が発表した新景観政策に反発する声が届いていた。同僚市議には異論があり、業界の陳情も始まった。議会を収めるには、現状の案では難しいと判断していた。
 市議らにも、景観政策の見直し論議を続ける「時を超え光り輝く京都の景観づくり審議会」の情報などが入っており、漠然と高さ規制が強化されることは知っていた。だが、デザイン基準の見直しなど細部は知らされず、出てきた案を見て、急に周囲が慌ただしくなった。敷地面積に応じた植栽面積の義務化やこう配屋根の端の「けらばの三十センチ以上確保」…。内容を詰めていくと、家が建たないケースも想定された。
 一月六日、新景観政策に反対する京都府宅地建物取引業協会が上京区の協会ビルで、支援する自民党市議と会合を持った。協会側が市議を呼ぶのは異例という。撤回を求める方針を訴え、市議に詰め寄った。「先生は賛成なんですか。反対なんですか」
 四月には市議選もある。ある市議は「二〇〇五年衆院選の郵政民営化のように、景観問題が踏み絵になりかねない」と危惧(きぐ)する。ただ、「景観保全」は反対しにくい。「どう選挙に影響するのか」。市民や業界の動向に神経をとがらせる。
 そんな空気を察知した市は、昨年十二月中旬から、市幹部たちが反対の意向が強いとみられる議員を中心に電話や面会で説得に奔走している。年が明け、市議の新年会に出席した桝本頼兼市長は新景観政策実現への熱意を語り、会場を去る際も市議に「どうぞよろしく」と声を掛けた。
 一月三十日、植栽基準などデザイン規制を中心に規制緩和する修正案が発表された。桝本市長は記者会見で「ぜひともやり抜く覚悟だ」と断言しつつ、「議会提案までの時間、優れた提案は受け入れたい」と、硬軟を織り交ぜた。
 いまのところ市議会では、野党の共産党が支持の方向性を示すのに対し、与党の自民、公明、民主の与党会派は姿勢を明確にしていない。修正案に最大会派・自民党市議団の中村安良団長は「まだ議員の立場によって考え方が違う。これから慎重に論議する」と話す。与党市議の一人も「賛成するかはどうかは、条例案など形になったものを見てから」とする。
 新景観政策の実現には、議会の関連条例可決のほか、都市計画の変更も必要となる。三十一日の市都市計画審議会で、市立病院(中京区)の改修に伴い、一帯の高さ制限を緩和する方針が議論になった。二十八人の委員中、十二人が市議だ。一人は「市民に規制を押し付ける一方で、なぜ病院だけ高さが必要なのか」と反論した。
 新政策の実現は、二月議会、さらに三月の都計審へと、議員との駆け引きをめぐって揺れ動く。
【2007年2月7日掲載】