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都計審が新景観策を承認

高さ上限の引き下げは初めて
 京都市都市計画審議会(会長・川崎清京都大名誉教授)が十九日、上京区内で開かれ、市の新景観政策に関連する建築物の高さやデザインの基準、規制区域変更などの議案を承認した。高さの上限は四十五メートルを廃止して三十一メートルに抑えるほか、現行五段階の基準に十二、二十五メートルを追加して六段階となる。高さ上限の引き下げは一九二四年に基準を設定して以来初めて。同審議会の議案承認で、新景観政策の導入に向けた手続きはほぼ完了した。
 審議会では、都市計画法に基づき高さの基準と区域を定める「高度地区」、デザインの基準と区域を決める「景観地区」「風致地区」を変更する三議案を中心に議論、採決に加わった二十一人の委員全員が賛成した。
 高さ基準で最高の三十一メートル(十階程度)が適用されるのは、従来四十五メートルだった都心の「田の字」地区のほか、京都駅や二条駅、山科駅、京都府庁周辺など都市機能の集積地。三山の山すそ周辺の住宅地では十−十二メートルに抑える。新設の二十五メートルは西大路通、九条通などの沿道で適用される。
 高さ規制区域は約六百ヘクタール増え、市街化区域のほぼ全域が対象になる。優良なデザインの建築物や公共施設、被災して緊急に建て替える場合、最高限度を「一ランク」上げる特例も設ける。
 デザインについては、自然と調和した和風の外観とする山ろく部の「風致地区」を金閣寺や上賀茂神社周辺などで約百ヘクタール追加した。市街地対象の「美観地区」は従来の種別基準を撤廃し、新たに「旧市街型」「岸辺型」など八つの類型を設け、さらに「本願寺周辺」「哲学の道」など六十の地域別基準に再編成し、約千五百ヘクタール拡大する。
 新景観政策は、市眺望景観創生条例など関連六条例が市議会で可決されており、今後、約五カ月の周知期間を経て九月一日から導入される。

導入手続き完了 これからが正念場

 九月に導入される新景観政策の柱となる建築物の高さ規制強化が、十九日開かれた京都市都市計画審議会で承認された。長年、高さをめぐる論争を繰り広げてきた京都の景観問題の歴史で、高さの上限を引き下げるのは初めてとなる。三十四年前に設定された四十五メートル上限が廃止され、市内では三十一メートルを超える建築物が原則として建たなくなるなど、厳しい景観規制が始まる。
 市が高さ規制を導入したのは、今から八十年前の一九二四年。当時、「百尺規制」の適用で、約三十一メートルと「六十五尺」(約二十メートル)の二段階の規制が掛けられ、戦後、一九七〇年に十メートルを追加して三段階となった。
 しかし、六八年には日本初の超高層ビルとなる霞が関ビル(百四十七メートル)が完成、京都でも六四年に建築物ではない「工作物」扱いの京都タワーが登場するなど、好景気と技術の進歩で全国に高層化が広がった。建築物の高層化が時代の潮流になる中、京都では七三年に高さ上限を四十五メートルにして、高層化に一定の歯止めをかけた。
 ところが、地価の高騰などを受けて高層化を求める機運もあり、九四年には京都の都心部に初の六十メートルビルが誕生。四十五メートル規制の御池通沿道で、「公開空地」の提供による容積率の上乗せで高さを緩和する「総合設計制度」を初適用した京都ホテル(当時)が完成した。
 総合設計制度による高さの緩和は、九八年にオムロンが下京区の三十一メートル地区で四十五メートル本社ビルを建設して以来、適用例がないが、都心部では高さと容積率を限度いっぱいまで使うマンションが増え、地元住民とのトラブルも目立った。
 新景観政策の導入は、長年の懸案だった景観論争に一定の区切りをつけたと言えるが、マンション住民に「既存不適格」への不安が広がり、反発も起きている。市内の大学からも規制に対する配慮を求める申し入れ書が市に提出された。
 市都市計画審議会の川崎清会長は「高さを抑えるとマンションでは各階の天井の高さを抑えて、生活環境として問題が出てくることも考えられる」と指摘し、今後、容積率や建ぺい率の議論が必要になるとの見通しも示した。景観保全の対策は、まさにこれからが問われることになる。

京都市の高さ規制の変遷

1924(大正13)「用途地域」(住居・商業・工業)を決定し規制開始。住居65尺(約20m)、住居外100尺(約31m)の2段階
1964(昭和39)京都タワー完成
1970(昭和45)高度地区制度を導入。10、20、31mの3段階。建築基準法改正で全国的には高さ規制撤廃
1973(昭和48)「景観保全」理由に高度地区変更で45mの上限を新設。4段階
1994(平成6) 総合設計制度による高さ60mの京都ホテル(当時)完成
1996(平成8) 住宅地で20m地域のほか、15m地域も追加。5段階
1997(平成9) 特定街区制度で高さ60mの京都駅ビル完成
2007(平成19)45m廃止。12m、25mを新設。6段階
【2007年3月20日掲載】