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看板”無法地帯“撤去を強化

厳しい基準、企業困惑
繁華街に並ぶ店舗の看板を、入念にチェックする市職員(京都市中京区)
 京都市が、違反広告物の取り締まり強化に乗り出している。国内でも例のない厳しい広告規制を盛り込んだ新景観政策が九月から実施されるのを前に、事実上、野放し状態になっている違反看板を一掃するのが目的だ。ただ七割近い看板が違反状態にあるとみられ、指導を受けた企業から、戸惑いの声も上がっている。

シンボルカラーでも×

 五月十一日午後、市職員四人が違反広告物のパトロールに出かけた。黄色をベースにした居酒屋の看板、縦長の屋上広告がある金券ショップ、大幅に歩道にはみ出した飲食店の看板…。現行の市屋外広告物等条例に抵触する疑いのある看板をメジャーで測りながら、カメラで撮影していく。映像を分析し、違反が判明すれば、経営者を呼び出し、是正指導する。
 「看板撤去は多額の費用がかかるため、これまで強く指導しなかった経緯はあるが、今後は徹底的に行う」と市都市計画局の担当者。というのも、建築物の高さやデザインの規制に加え、広告看板についても規制を強化する新景観政策が九月一日から実施されるからだ。
 新基準の適用は最長七年間の猶予期間は設けられているが、「無秩序な広告看板がまちの景観を壊している」として、一気に撤去指導を強めている。
 しかし、市内中心部では現行基準さえ満たしていない看板が乱立している。市の調査では、四条河原町や四条烏丸などの繁華街で看板を設置する五百九十一棟の建物のうち、四百一棟は条例で義務付けられた届け出をしていない違反広告だった。
 府広告美術協同組合は「現条例でも十分厳しく、各店舗が届け出ても許可が下りない。無届けで掲出しても取り締まらないため、無法地帯となった」と説明する。
 新景観政策の導入決定とともに、「まじめに届け出た業者だけが損をする」という広告業界からの要望を受け、市は是正指導の強化に乗り出した。四月からはパトロール班を三人増員の十一人体制でほぼ毎日、巡回している。四月だけで看板二十枚を撤去させた。
 ただ、急な取り締まりに戸惑う企業もある。赤色のデザインが有名な飲料メーカー「コカ・コーラ」。新基準ではもちろん、現行でも違反になる「けばけばしい色」に該当すると市から判断され、今年三月、河原町通三条の巨大広告を撤去した。
 近畿コカ・コーラボトリング(大阪府摂津市)は「広告は全世界共通で、評価も高い。以前は指導に従い工夫したこともあるが、今は色を変えられない」とし、屋外広告をすべて撤去する可能性も示唆している。
 また、ピンクの看板の居酒屋チェーンも、四条河原町の広告を撤去したが、「市民に定着しているシンボルカラーを急に『京都になじまない』と言われても困る」と対応に苦慮している。
 点滅する看板も市内全域で禁止されるが、点滅看板を設置している飲食店も多い。中華料理チェーンの王将フードサービス(山科区)は「指導には従うが、点滅式の看板を一斉になくせば、繁華街は真っ暗になるのでは」と心配する。
 店舗側からは「こんな厳しい規制を守ったら、商売にならない」との声も上がっており、改善指導は一筋縄ではいきそうにない。
【2007年5月19日掲載】