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混乱に拍車 新景観政策

耐震偽装対策で遅れる建築確認
新景観政策のデザイン基準について事前相談を受ける京都市役所の窓口。新基準について問い合わせる業者で込み合った(京都市中京区)
 京都市内でビルや住宅を建てる業者の間に、一日スタートした市の新景観政策や耐震偽装対策の影響で混乱が広がっている。六月から着工前の耐震性などのチェックが厳しくなり審査機関の処理が遅れているのに加え、新景観政策導入では高さなどの規制が強化され、手続きも煩雑になった。予定通り事業が進まず、特に中小の業者から「死活問題だ」と悲鳴が上がっている。

中小の建築業者 悲鳴「死活問題」

 「夜も作業しているが追いつかない。六月二十日以降、マンションなど大きな建物は建築確認が出ていない」。民間の京都確認検査機構(中京区)の樫田攻社長は困惑気味に話す。現在、確認が出せるのは木造二階建て住宅が中心だが、それも「以前は一週間あれば出ていたが、一カ月近くかかっている」という。
 建築確認の遅れは、六月二十日の改正建築基準法の施行が原因。耐震強度偽装の「姉歯問題」を受けた法改正で、審査期間が最長二十一日から七十日に延び、一定規模以上の建築物は構造計算書を複数の機関がチェックするよう義務付けられたが、公式解説書の発行が八月十日にずれ込み、業者の多くが手探りで対応を迫られた。京都府建築士会の衛藤照夫会長は「改正に対応した構造計算ソフトもなく、手計算の対応も目立つ。申請に必要な書類も膨大になっている」と嘆く。
 こうした基準法改正に伴う混乱は全国的に起きているが、京都市内では建築物に和風デザインを求める新景観政策が一日から実施され、拍車が掛かった。
 樫田社長は「景観の基準が変わる前の八月中に何とか確認を出してという要望が多かったが、間に合わないと説明して申請を受けるケースもあった」と話す。民間でも行政でも建築確認が遅れた結果、建て売りの契約がキャンセルになった事例も出ているという。
 さらに、市内のある不動産業者は「金融機関が基準法や景観条例に合わない物件にローンを認めない動きがある。基準法、景観、ローンの『三重苦』だ」と声を落とす。
 府宅地建物取引業協会の川島健太郎副会長は「中小の業者は死活問題に直面している。今後、市の景観の窓口で事前相談や審査の対応があいまいで混乱するようでは困る」と、市のスムーズな対応を求めている。
 市都市計画局は今年四月以降、景観や建築指導の職員を増やして体制を充実させているが、「職員の質を高める研修を重ねていきたい」としている。
【2007年9月2日掲載】