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(1)基準

進む理解 町並みに変化
新基準の適用でロゴマークだけの外観となったモンブランの店舗ビル(京都市下京区)
 京都市中心部の四条通柳馬場角に四月二十八日、壁面の黒いビルが姿を現した。世界的な万年筆ブランド「モンブラン」の路面店が完成した。壁の二カ所にロゴマークがあるだけの外観が、斬新に映る。
 「実は最初、壁に大きな看板を付けるプランだったんです」。店舗デザインを担当した販売会社(東京)の高桑真さんが打ち明ける。
 東京・銀座の店舗はビルの高さいっぱいにアクセサリーを身に着けた女性の看板を掲げている。京都もほぼ同じ構想で、ビルから道路側に突き出る「袖看板」を使い、柳馬場通側の最上階付近まで大看板が覆っていた。
 この案が、昨年九月に実施された新景観政策に引っ掛かった。屋外広告物が市内全域で規制強化され、色の明るさや彩りが抑えられた。看板の下地に使う色合いも数値基準が設けられ、面積も縮小、高さも低く規制された。四条通では袖看板も禁止になった。
 市と協議を始めた高桑さんに上司やドイツの本社から出た指示は、「市役所に協力してください」。早々に袖看板と大看板を使わないことを決め、インクの色でイメージカラーの「ブルーブラック」でビルを包む案を提示、市が認めた。
 「京都という街に敬意を持って出店した。条例を守るのは当然」。広報担当の西村恵美さんの説明はさりげない。景観への企業の理解から、町並みが少しずつ変化している。
 一方、既存の違反看板は簡単には一掃されない。市は昨年から中心部で是正指導を強め、巨大で派手な看板の撤去や縮小を進めているが、四条通や河原町通周辺で違反看板を掲げていた約千三百店のうち、今年三月末までに従ったのは約三割にとどまる。中心部以外は、十分に指導が行き届いていない。
 「禁止色は明確だが、実際の審査では線引きが難しい」(市街地景観課)と審査する現場の悩みもある。市は手続きがスムーズになるよう四月から、看板製作の業者でつくる京都府広告美術協同組合と定期的な意見交換の場を設けた。
 四条繁栄会商店街振興組合の堀部素弘理事長も「規制は痛しかゆしだが、四条通は祇園祭で山鉾が巡行する。よそとは違うまちづくりで新たな価値をつくりたい」。新基準を軌道に乗せるため、模索が続いている。
【2008年5月1日掲載】
 京都市の新景観政策導入から八カ月が経過した。高さやデザインの厳しい規制を受け入れながら、町並みは少しずつ変わろうとしている。変化の兆しや見えてきた課題を追い、古都の景観再生への道を探る。