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(3)商機

復権和風 新たな突破口
スレート屋根から日本瓦にふき替えられる八幡山町会所(京都市中京区)
 祇園祭の山鉾の一つ「八幡山」町会所の屋根が四月末、スレートから日本瓦にふき替えられた。新景観政策は和風の外観を重視し、屋根に極力、瓦を使うよう求めている。その趣旨を踏まえ、京都市中京区の八幡山保存会が北区の瓦店に仕事を頼んだ。
 和風住宅の減少などから瓦の需要は落ち込んでいたが、昨年九月の新政策導入以降、徐々に増えだした。「耐久性を考えても日本瓦は最高の屋根材。復権のチャンスだ」。瓦店の光本大助社長はふき替え作業をまぶしそうに見上げていた。
 京都府瓦工事協同組合によると、屋根の色や素材などが規制強化された結果、これまで瓦を使わなかった建築士からも注文が来るようになった。  松田等理事長は「組合員数は減少しているが、仕事量の回復で歯止めを掛けられる」と期待する。
 京都市も市営施設で日本瓦の使用に力を入れ始めた。下京区のJR京都駅のすぐそばの崇仁市営住宅新設では屋根材を瓦に切り替えた。市住宅整備課は「京都の玄関口には、京都らしさを代表する日本瓦の連なりがふさわしい」。本年度内にも着工する六階建て住宅に約一万三千枚の瓦を使う予定で、今後も新しい施設に瓦を多用していくという。
 瓦には「重くて地震時に不安」「コストが高い」などのイメージもつきまとう。しかし、最近では地震時に落ちにくくする工法が開発された。価格はスレートなどに比べ一・五倍以上高いが、五十年以上も使用できるという利点がある。
 同組合は三月から建築士を対象に瓦の工法、構造計算などを指導する連続講座を始めた。「建築士や市民に瓦の利点を知ってもらいたい」と講座以外のPRも検討していく。
 住宅建材業界でも、新景観政策導入を「新たな商機」ととらえる動きが出てきた。
 右京区の住宅建材商社は四月、規制に対応した注文住宅向け建材セットを大手メーカーと協力して開発した。
 和風を基本にしたデザインでオール電化や耐震工法も取り入れた。「価格も坪(三・三平方メートル)五十二万円からで、平均的な値段。京都らしい新たなデザインを生み出す突破口になる」。中村憲夫社長は手応えを感じている。
 商社に建材や工法を提供する大手メーカーの京滋営業所(南区)も「長浜市や倉敷市など景観を大切にするほかのまちに、成果を広げていきたい」とする。京都発の和風住宅販売に向けて、戦略を練っている。
【2008年5月3日掲載】