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(8・完)創生

実現なるか「国税投入」
電柱地中化が計画される河原町通。京都創生事業に位置づけられるが、なかなか進まない現実も(京都市上京区)
 京都市が四月一日に実施した組織改正で、総合企画局にあった京都創生室が消え、同じ局内の政策推進室の京都創生課に再編された。「力を弱めるというわけではないんですが…」。柴崎孝之課長は説明するが、事実上の格下げで、担当職員数も減った。
 京都創生は、二〇〇四年に市が全国に呼び掛ける形で打ち出した構想で、日本の歴史や文化を世界に発信できる国家戦略として京都の再生を目指す計画だ。市は翌〇五年に部長級をトップとする京都創生室を設けた。
 構想の柱は景観、観光、文化施策の充実。電柱地中化約百四十五キロ、京町家二万四千戸の改修補助、歴史的風土特別保存地区の公有化など、およそ十年で五千億円を投じる内容だが、必要な資金を特別措置法で確保するのが最大の目標でもある。
 市は国に要望、陳情を繰り返し、関係省庁の担当課長らを集めた「日本の京都」研究会を設置。京都の国会議員を中心に特措法制定に向けた議員連盟も結成された。
 だが、法制定は容易ではない。「なぜ、京都だけ特別なのか」との問い掛けに、国税投入の説得力、国会を動かす力が必要になる。
 しかも、すでに国が実施している補助事業も多い。例えば、電柱の地中化。京都市も一九八六年度から国から事業費の二分の一補助を受け、〇七年度までに延長約五十キロまで地中化した。年平均二キロのペースだ。
 地中化には、道路沿いなど三、四十メートルごとに変圧のための地上機器が必要になるが、「沿線住民は総論賛成でも家の前の設置になると理解が得にくい」と市担当職員。「国から地元対策は大丈夫ですか、と切り返されると、言葉に詰まる」という。
 国土交通省の官僚の一人は「結局、京都創生は政治家の判断」と付かず離れずの姿勢を見せ、議員連盟の事務局長を務める自民党の二之湯智参院議員は「京都が歴史都市の代表であることは間違いないが、なぜ特別なのか。その理屈が詰め切れていない」。活動は休眠状態のままだ。
 新景観政策も「京都創生の布石」と位置付けられている。景観規制を受け入れる代償として特別措置を求めるが、実現しなければ、せっかくの新政策の意味も薄れる。
 「痛み(規制)を受け入れてでも、京都を再生しようという市民的盛り上がりがないと国は動かない」。柴崎課長はそう言いながら、六月に開く十三回目の研究会の準備を始めた。(おわり)
【2008年5月12日掲載】