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(6)看板業者の苦悩

収入激減 “環境”に活路
【上の写真】新景観政策により、看板が一掃された河原町三条交差点(2009年12月撮影、京都市中京区)
【下の写真】新景観政策の導入前、看板が乱立する河原町三条(2006年12月撮影)=京都市役所提供

 京都市の代表的な繁華街である河原町通三条−四条間で、ビルの壁が白っぽく変化した個所があちこちで見られるようになった。特に河原町三条交差点ではほぼ壁面全面を覆っていた看板が一掃され、風景が一変した。違反看板撤去が進み、市の担当者は「違反看板は9割以上なくなった」と胸を張る。
 新景観政策で屋外広告物の規制が強化され、看板面積は中心市街地でも約4割の縮小が求められた。デザインも派手な色彩が制限され、点滅看板や屋上看板も全面禁止になった。現存する看板は2014年8月末まで設けられた経過措置までに改めなければならないが、併せて市は野放し状態だった旧基準の違反看板の撤去指導を強めている。
 繁華街の様子が少しずつ変わっているのは、違反看板の撤去のためだが、市によると、中心市街地で845店舗、事業所が撤去やデザイン変更などで改善をしたという。
 5年後の夏までには、市内の各所で新規制の看板が整うことになるが、この規制が看板業者には厳しい。
 「このままでは倒産だ」。伏見区で電飾看板の製作販売を営む男性(47)は、売り上げ半減を嘆く。点滅看板の全面禁止が響き、今は電飾のメンテナンスが中心で新規受注はほとんどない。「市から『迷惑業者』の烙印(らくいん)を押されたようなもの。寺社の近くで禁止するなら分かるが、なぜ繁華街まで」と不満を募らせ、大阪に新たな販路を求めている。
 看板業者でつくる府広告美術協同組合によると、この2年間で加盟社の約1割の5社が廃業し、家族経営の小さい業者が最も影響を受けたという。広告代理店も同様で、11月に中京区の会社が解散した営業担当者(40)は「企業を回っても『京都で目立つ看板は無理でしょ』と断られる。撤去後の場所に新たな広告をとるのは難しい」と肩を落とした。
 看板規制の激変は、広告主の考え方も変えつつある。目立つ看板が禁止されたことで、「環境への配慮」をアピールし、注目を引こうとする看板が登場するなど看板の効果を見直す動きも出てきた。
 南区のリサイクル業「木本商店」は今春、太陽光発電でライトアップする看板を設置し、あえて沿道の国道1号から目立つように発電パネルを立てた。「費用はかかったが、いいPRになる」と手応えを感じ、京都中央信用金庫も1月から市内3店舗で省エネ型のLED(発光ダイオード)看板を導入した。
 環境配慮型の看板を製作するコダマ製作所(中京区)は規制強化後、2〜3割も売り上げが伸びた。児玉雅人社長(42)は「京都で大きな看板を出すとイメージが悪くなるという考えが企業の間で広がっている。小さくても目をひく看板への転換が必要だ」と売り込みを強める。
 とはいえ、景観政策が看板業者を直撃している。市は優良デザイン看板に補助金を出す対策に乗り出しているが、交付実績はわずか4件。規制の本格導入までに業者への影響をどこまで抑えるのか、市の責任も問われる。

【2009年12月21日掲載】