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(8・完)京都創生

政権交代、特措法壁厚く
国に財政支援を求める「京都創生」構想を練る市職員。実現には高いハードルが待ち受けている(京都市役所)

 11月12日夕、国会に近い東京都内のビルで国と京都市の「京都創生」研究会が開かれた。京都創生に協力を求める市に、省庁幹部は「京都だけ特別扱いは難しい」「新政権でこんな予算は通らない」と厳しい言葉を浴びせ、市幹部も返す言葉がなかった。
 京都創生は市が2003年6月にまとめた構想で、景観保全を図るため町家改修の補助や相続税軽減などを国に求め、10年間に5千億円の財政支援を受ける特別措置法制定が最大の目標でもある。国内で例を見ない建物の高さやデザインを規制する新景観政策を07年9月に導入したのも、この特措法を念頭に置いた規制強化だった。
 そのため、市は04年10月に国土交通省など関係6省庁と研究会を立ち上げ官僚に協力を求めているが、6年たっても進展せず、政権交代でさらに厳しい局面を迎えた。11月の研究会もちょうど「事業仕分け」の真っ最中で、国交省幹部は「なぜ京都だけ支援するのか理論が弱い。予算要求しても仕分けで撃沈される」と突き放した。
 研究会と平行して国会議員への働きかけも行ってきたが、これも後退している。自民、公明両党の議員による京都創生議連が05年5月に105人で結成され、会長の森喜朗元首相へ何度も足を運んで実現を訴えた。しかし、今夏の衆院選で自公は惨敗し議連メンバーも44人に激減した。
 政権を握った民主党も同様の議連(41人)をつくっているが、会長、事務局長も政界を退き、窓口さえない状態になった。「自公が動けば、民主も動いてくれる」との目算が大きく外れ、市幹部の間で戸惑いも広がる。
 ただ、京都創生の実現に最も関係が深い国交省の大臣に地元の前原誠司衆院議員が就いた。「京都創生をお願いします」。門川大作市長は9月25日、国交省のエレベーターで就任したばかりの前原大臣に声を掛け、「国家戦略として重要で、取り組みに敬意を表したい」との回答を得て気分をよくした。
 陳情の一元化で、面会を断られる首長が続出するなか、門川市長は秋以降、前原大臣の3回を含め政務三役らに20回近く接触している。「名目は政策提案や事情説明で、『陳情』ではないから問題ない」と門川市長。なんとかパイプをつなぎ留めようとしている。
 自公政権時代の政策が相次いで見直されるが、昨年11月に施行された「歴史まちづくり法」で市が申請した景観保全が認定された。11月19日の認定式で前原大臣と門川市長が顔をそろえ、上七軒歌舞練場(上京区)改修費の補助決定を喜んだ。
 だが、特措法実現には、京都の景観が「特別」であることを示す根拠や理論的な裏付けが必要で、関係省庁のほか、広く国会議員の理解がないと前進しない。自民党議連メンバーで地元の二之湯智参院議員は「新景観政策の素晴らしさを語っても、他都市の議員は納得しなかった」。京都創生が日の目を見る道筋は依然視界不良のままだ。(おわり)

【2009年12月23日掲載】