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「自立」への壁 動き出した支援法

(3)縦割り是正 〜一元化、実態は切り下げ
「京都ひまわりの会」の例会に集まった細田さん=左から2人目=らメンバー(京都市中京区)
 「生計が圧迫される」「何の支援にもなってへん」。京都市内で開かれた精神障害者の「京都ひまわりの会」の例会。それまでなごやかだった雰囲気が、障害者自立支援法に話題が及ぶと暗く沈んでしまった。共同代表の一人細田一憲さん(五五)=西京区=はみんなの声に心配そうに耳を傾ける。
 細田さんは三十五歳で発病した。そううつ病と診断され、通院を続ける一方、同じ立場の仲間の相談に乗るなど支援活動を続けている。
 「支援法の施行で、医療費が二倍になった。利用料の一割負担で福祉サービスを使う仲間はさらに厳しくなる」と懸念する。「これまでは医療でも国に守られているという安心感があった。負担が増えることも問題だが、国がわたしたちを見捨てるのではないかという不安の方が今は大きい」
 支援法の大きな目的は縦割りだった知的、身体、精神の障害者福祉を一元化し、種別にかかわりなく必要なサービスが受けられるよう仕組みを整えることにある、と厚生労働省は説明する。
 精神障害者福祉は知的、身体に比べ遅れがちだった。「一元化で他の障害と肩を並べることができるとわたしたちも期待した」と社団法人・京都精神保健福祉推進家族会連合会準備会(右京区)の野地芳雄会長は振り返る。しかし先月、国が明らかにした全障害共通の報酬単価の削減と人員配置基準の緩和で、その期待は裏切られた。「知的と身体が切り下げられ、低い精神の方に並んでしまった」
 一元化で精神障害者も地域の知的、身体障害者向けだったサービスや施設を利用できるようになる、と行政関係者はメリットを強調する。一方、十月以降のサービス再編で、大切な「居場所」だった共同作業所や地域生活支援センターなどの福祉施策は市町村の判断に委ねられることになる。利用者には施策切り捨てへの不安も大きい。
 負担面で強い反発を呼んでいるのが「通院医療費公費負担制度(通称三二条)」の見直しだ。精神保健福祉法三二条で医療費の自己負担はこれまで5%に抑えられていた。しかし一割負担が原則の支援法の施行に伴い、それが10%に引き上げられた。
 準備会は「精神病は治療が長期にわたる。また偏見から医療までいきつかない人も多い。そのなかで三二条は医療の負担と敷居を大きく下げる、ひときわ光り輝く施策だった」と残念がる。
 「お金がかかるなら、薬を減らす」「デイケアに行くのも考え直したい」。精神障害者の支援組織「まいんど・きょうと」(左京区)に当事者の悲鳴が寄せられる。事務局の川岸トシ子さんは「医療やサービス利用を抑制し、家にこもれば病状は悪化する。しなくてもいい再入院が増え、結局は医療経済的にも逆効果になる」と懸念する。