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(3)検証 燃え尽き症候群

踏んだ距離だけ心すり減る?
【上】大阪国際女子でマラソンデビューを飾った木崎良子(2010年1月)【下】佛大を全日本大学女子駅伝連覇に導いた森川監督
 努力しても報われない。達成感から新たな目標を見つけられない。こうした「燃え尽き症候群」が問題視される中、困難を乗り越えて成長する選手は少なくない。
 ダイハツの木崎良子(宮津高−佛大出)は日本を代表する長距離ランナーに育ちつつある。社会人3年目。昨年1月、大阪国際女子マラソンで6位入賞を果たすと、広州アジア大会5000メートルでは8位入賞。駅伝でもエース区間を任されている。

■言葉に救われた
 高校時代は「伸び伸びと走れた」。だが大学に進むと状況が変わる。厳しい練習に徹底した管理。故障や貧血も重なった。「陸上をやめたい」。そんな思いが強くなった2年生の終わりごろ、コーチだった森川賢一監督の言葉に救われた。「必ず走れるようになる」
 わずか2週間後の京都シティハーフマラソンで2位に入り、翌年に初優勝。全日本大学女子駅伝では区間賞にも輝いた。木崎は「走る楽しさを教えていただいた。今の最終目標はマラソン。駅伝など一つ一つの大会も生かしたい」と決意を新たにする。
 森川監督は「本人が走りたいと思うことが一番大事」と話す。力量や体調に合わせてペースを設定。否定的な言葉は口にしない。「やる気があればいくらでも走れる。でも走り過ぎないよう指導者がブレーキを踏むことが大切。限度を超えると『燃え尽き症候群』になりかねない」。佛大を全日本大学女子駅伝で連覇に導いたが、「大きな目的」はあくまで「人として成長することだ」という。それは、精神面が問われるマラソンにも必ず生きてくる。

走る楽しさずっと 指導者がブレーキを

【上】全国高校駅伝を制した女子の興譲館高(同年12月)【下】佛大3年時に、京都シティハーフマラソンを初制覇した木崎(平安神宮前、2007年3月)
■みんないるから
 昨年末の全国高校駅伝の女子を制した興譲館高(岡山)の森政芳寿監督も駅伝に教育的価値をみる。「目標に向かって全員がまとまることで精神的な成長につながる」と強調し、赤松弘佳主将も「みんながいるから安心してスタートラインに立てる」。森政監督は「指導者として『燃え尽き症候群』にさせてはいけない」と自戒も忘れない。
 気持ちを切らさず、長く競技を続けるために何ができるか。1500メートル日本記録保持者の小林祐梨子(豊田自動織機)らを育てた須磨学園高(兵庫)の長谷川重夫監督は、3000メートルなどトラック練習を重視して基礎走力を徹底的に磨く。

■将来への土台
 「若いころは距離を伸ばさず、土台づくりに専念することで将来につながる」。年末の全日本実業団女子駅伝では全体の1割近くに当たる12人の須磨学園高OGが力走。マラソンでもベルリン世界選手権7位の加納由理(セカンドウィンドAC)や、2009年名古屋国際2位の堀江知佳(ユニバーサルエンターテインメント)らが活躍している。
 長谷川監督は言う。「マラソンは心の成長が伴わないと結果に結びつかない。みんな好きで陸上を始めたはずだから、長く続ける選手が多いのは素直にうれしい」