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昼間はパン職人 夕方からコーチ

立命館宇治リポート
 パン職人の修行のかたわら野球指導に情熱を注ぐ立命館宇治の里井コーチ(左)=宇治市、同高三室戸グラウンド

 2000年春のセンバツで4強入りした鳥羽高で強打者として活躍した里井祥吾コーチ(26)が、高校時代の恩師である卯瀧逸夫監督を支えている。パン店を営む実家の関係でパン職人の修業に励み、夕方からノックバットを振るう毎日。研究熱心な性格を生かして指導を続けている。

 京都市南区出身。鳥羽高で卯瀧監督の指導を受け「理論がものすごく分かりやすかった」と、1年秋からレギュラーをつかんだ。一塁手として00年春、夏、01年春と3季連続で甲子園の土を踏み、通算25打数10安打8打点と大活躍。立命大でも強打を発揮した。

 卒業後は野球から離れ、パン職人の道へ。07年春、立命館宇治高監督に転身した恩師からコーチ就任の要請を受けた。

 一度は断ったものの「監督のことが急に気になり始めた」。父親の勧めもあり、職人との両立を目指すことにした。

 平日は午前5時に起床し、京都市南区のパン工場へ。勤務を終えると、卯瀧監督の車で宇治市内の同高グラウンドへ向かう。練習を終え帰宅するのは午後9時半を回る。週末は終日、練習につきっきりだ。それでも「忙しいとか、つらいと思ったことはない」と充実感を漂わせる。

 コーチ3年目。主に打撃や守備を指導する。「パンは焼き上がるまでの2、3時間で成功か失敗の答えを返してくれるが、野球はすぐに答えを返してくれない。でも、待ってじわじわ良くなっていく選手の姿を見るのも楽しい」と醍醐味を語る。

 思い出が詰まった甲子園に、恩師とともに9年ぶりに戻る。「甲子園は観客の入りや歓声の響き方がいつもと違う。相手が名門校の場合は独特の雰囲気がある。そんな経験も選手に伝えてあげたい」と穏やかに話す。

【2010年2月19日掲載】