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「個々の考え方や持ち味を大切に」 良質な本 子どもに届け

NPO法人「子どもと本をつなぐ会きんだあらんど」代表理事 鈴木晴代さん(59)=左京区
ベストセラーから新書まで隔てなく並べた販売スペースで絵本を手に取る鈴木さん(京都市左京区新間之町通二条下ル・きんだあらんど)

 三十七歳の主婦が児童図書専門店を開いて、二十二年たった。二年前にはNPO法人に経営を引き継ぎ、自ら代表理事に就いた。子どもたちに渡す本の質の高さを問い続け、テーマに沿って良書を紹介するブックトークや読書会を続ける。

 カタログに載っている絵本を求め、一歳の子どもの手を引いて神戸市の児童書店に行ったのがきっかけだった。温め続けた出店計画が実現したのは十二年後。当初は本の仕入れ先に計画を持ちかけても相手にされず、読書や取次店でのアルバイトで知識を蓄え、時間をかけて準備した。人生の岐路に立つときは「人と同じことをしていてはだめ」という恩師の言葉を思い出した。

 ひとくくりにされることに抵抗もあった。大学の馬術部の活動に熱中していたころ、入試阻止を図る全共闘の動きに、体育会から団結して対抗するよう部に指令があった。「馬術を楽しむための集まりに個人的な考え方を押しつけるのはおかしい」と、部としての参加は見合わせると申し出た。「考えざるを得ない状況に置かれて初めて個を自覚した」と振り返る。

 いま活動をともにするNPO法人の運営委員は、職業的には「主婦」とくくられる女性たちだ。だが、個々の考え方や持ち味を大切に、良質な本を子どもたちに届ける活動につなげていこうと考えている。

【2007年5月25日掲載】