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「生涯ずっと何か勉強していたい」 人と交流 刺激受け意欲

大学院で福祉を学ぶ 湯口憲子さん(60)=東山区
「大学院を修了するのが今の一番の目標」と語る湯口さん(京都市東山区)

 昨年四月、京都市内の大学院に社会人入学した。修士論文は、高齢者や身体障害者の交通バリアフリーがテーマだ。「いろいろな人との交流が刺激になるし、勉強が楽しい」と笑顔を見せる。

 東山区の寺に生まれ、住職の父に影響を受けて育った。父は戦後の京都でのボーイスカウト活動の指導者で、寺では英会話サロンも開いた。中学一年でガールスカウトに入り、高校と大学ではESS部に所属した。

 大学の時、ガールスカウト世界大会の日本代表の一員に選ばれて米国を訪れ、物の豊かさに驚かされた。卒業後は、海外との取引も行う特許事務所に就職し、一九七〇年の大阪万博ではイベントの一つで外国人向けに英語で司会も務めるなど、「いい青春を過ごさせてもらいました」。

 二十四歳で結婚。夫の実家の家業を手伝いつつ一男一女を育てた。人生の転機は、長男が四歳で進行性の病気と診断されたこと。学校などでけがをしないか心配で、無事家に帰ってきた顔を見てほっとする毎日だった。

 しかし苦しい時に心の支えになったのも長男だった。十年前に家業の工務店を閉めることになり、パートで働きつつ、義父母の在宅介護も夫と担った時期があった。だが「息子は病気を抱えつつ懸命に生きている。私もくじけられん」と踏ん張った。

 修士論文のテーマ設定にも、長男が四年前から車いすで生活するようになったことが影響した。「生涯ずっと、何か勉強していたいですね」と意欲を見せる。

【2007年6月15日掲載】