京都新聞TOP > 政治・社会アーカイブ > 団塊の女性たち
インデックス

「農業は生涯現役でいられる仕事」 手間をかけるのが大事

野菜作り一筋 桃井節子さん(58)=北区
畑仕事を終えて、野菜を袋詰めする桃井さん(京都市北区上賀茂)

 朝日がまぶしい京都市北区上賀茂の畑で賀茂なすの収穫をする。「野菜の顔色を見るのが大切」。手間をかければよく育ち、かけなければしおれる。二十一歳で家業の農業を手伝い始めて以来、三十七年間、野菜を作り続けてきた。

 幼いときからすぐき菜を束にして、市場に持って行く手伝いをしていた。農家に育ったから当たり前だった。夏は鴨川に飛び込んで泳いだ。高校の教室でエレキギターに合わせてビートルズの曲で踊ったのが懐かしい。

 二十一歳で農家に嫁ぎ、二十二歳で出産。青春時代は農作業と子育てで忙しかった。「高校の同級生には京大へ行った人もいたけど、まわりで学生運動に参加した人はおらんかったなあ」。四年制大学への進学率が一割程度だった時代のことだ。

 当時の上賀茂は一面、田畑が広がっていた。しかし一九七〇年ごろから宅地が増えた。日当たりが悪くなったり、後継者不足で農業をやめる人も出てきた。「しょうがない面もある。でもみんな頑張ってる。農業は生涯現役でいられる仕事」。

 二人の妹も近くでいまも農業に携わっている。義父と息子夫婦、二人の孫と四世代が同じ敷地に住む。「夫と息子、三人で仕事に出る。しんどい時も暇な時も一緒。お互いの理解も深まるしね」。横浜に住む娘の子ともテレビ電話で話せる。今は孫の顔を見るのが、なによりの幸せだ。

【2007年6月22日掲載】