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「与えられた環境で精いっぱい生きたい」 自立への思いはずっと

アンティークショップを経営する 吉本千秋さん(58)=北区
実家の1階でアンティークショップを経営する吉本さん(京都市北区)

 実家の表通りに面した和室でアンティークショップを開いて十二年。今では和室のみならず、奥のリビングまで客を通し、生活空間でアンティーク品がどのように生かされているかも見てもらう。「昨日まで夫が座っていたいすが、翌日には売れてなくなっていることも。初めは家族はひやひやして見てたと思います」と笑う。

 骨董(こっとう)品を収集する友人の影響で、四十代初めにアンティークの世界に興味を持った。それまでは、近くの北野天満宮で縁日の「天神さん」があることすら知らなかった。結婚して二人の娘に恵まれ、専業主婦として忙しい毎日を過ごしていた。

 しかし、ウーマンリブの風が吹いた一九七〇年代に青春時代を過ごした経験が生き続けていた。「主婦をしていても、自立したいという思いはあった」と振り返る。

 木目の傷すらも歴史を感じさせる、そんなアンティーク品の質感に魅力を感じ、「本物の良さを伝えたい」と目を輝かせる。

 最近、実家から近くの団地に越したのを機に、「いかにシンプルに暮らせるか」に挑戦している。「団塊の世代として物質的には貧しい幼少時代を過ごし、物があふれる今に疑問を感じているせいかもしれません」。持ち物を必要最小限にし、使わない物はリサイクルなどに回した。「六十歳を控え、残された時間を計算するようになった。与えられた環境で精いっぱい生きたい」

【2007年7月6日掲載】