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「だれかのために作ることこそ大切」 自宅で教室、思い伝える

人形作家 森小夜子さん(58)=右京区
自宅に併設した工房で人形作りに励む森さん(京都市右京区)

 真っすぐな瞳。きゅっと引き結んだ口。人形作家の森小夜子さん(五八)は、見る人の心の内を射抜くような人形を作り続けている。「勤勉な人たちが幸せに暮らせる世の中になってほしい」。そう願い、人形にメッセージを託している。

 電気も水道もない奈良県の山間地で、小学六年生まで育った。「何もないところ。遊び道具は全部自分で作り出しました」。木の枝で人形などを作って遊ぶうち、洋服デザイナーになりたいという思いが募った。

 高校卒業後、東京都のデザイン研究所に入学。色彩構成などを学ぶ一方、折しも始まったベトナム戦争の反戦デモにも参加した。「戦争は嫌。毎日のように爆撃しているそのエネルギーを、もっと地球のために使うべき」。そう語る目は、どこか人形の目に似ている。

 三十代後半、シルクロードのテレビ番組を見たのをきっかけに、アジアの少数民族の生き方にひかれた。バブルが始まろうとしていた時期。「民族の誇りを大事にしているこの人たちこそ、本当に心が豊かなではないか」。以来、少数民族が人形作りの一つのテーマになった。

 「今は何でもお金で買える。でも、だれかのためにものを作ることこそ大切」。自宅で人形教室やカフェを開き、思いを伝えている。「きれいな環境を後世に残すことは、わたしたち団塊の世代の大切な役割」と、人形作りのかたわら、畑で野菜を作るなど半自給自足の生活を続けている。

【2007年9月7日掲載】