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「時代を生き抜くパワーがある」 和食文化 伝統守り伝え

老舗料理店女将 北村明美さん(59)=東山区
「働き続けた同級生も、少し時間が持てるようになり、最近は店を訪れてくれます」と話す北村さん(京都市東山区)

 京都市東山区の円山公園内にある江戸時代から続く名物料理店「いもぼう平野家本家」に生まれた。子どものころから「お人と話をするのが好き」で、自然と引き継いだ十四代目の女将。同じく団塊世代の夫と和食文化の大切さを伝える。

 近所には同世代の友達がたくさんいた。円山公園や近隣寺院を庭のようにして日暮れまで遊んだ。いじめっ子がいても、それを止める役がいた。集団の中でもまれて育ち、人付き合いを学んだ。

 同志社大三年の時、学生運動で大学が閉鎖される。四条通を埋めるデモの人波は「すごい迫力。街中に活気があふれていた」。公園で学生が警官と小競り合い。客を守ろうと、母と店の前に立ちはだかったこともある。

 高度経済成長、バブル崩壊と時代の浮き沈みを見てきた。素材のえびいもの生産者は減り、温暖化の影響などで近海の棒ダラが少なくなるなど課題も多い。でも「伝統を守るだけでなく自分の時代の工夫を加え、次世代に引き継がないと」。鍋から鍋へと移され濃縮したダシは、店の誇りだ。

 戦後の食の欧米化の中で育ち、若いころは洋食が好きだったが、三世代一緒の家族の食卓に並ぶおばんざいに、和食の大切さを学んだ。今、店では中高生の体験学習を受け入れる。「守り育ててきたものを伝えたい。団塊世代には混とんとした時代を生き抜くパワーがある。まだまだこれからです」

【2007年9月14日掲載】