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「自分で考え動く おもしろさ知って」 自身の人生 作品に重ね

児童文学作家 吉田道子さん(60)=山科区
文学で子どもにエールを送る吉田さん(京都市山科区)

 児童文学作家として三十四年。「自分でやりたいことを選び取り、食べてきた」と自負する。十二冊が出版された単行本の内容には自身の生き方がにじむ。「自分で考えて動くおもしろさを知ってほしい」と、子どもたちへの願いを込める。

 兄や姉のお下がりの本を読むうちに言葉に興味を持った。一九六五年に入学した大学では、子どもの世界を描いた樋口一葉の「たけくらべ」など近代文学を学んだ。卒業を控えても一生かけてやりたいことが見つからず、大学院へ進んだ。「モラトリアム。当時はまだ日本が成長期で、何とかなると思った」

 しかし、全共闘運動で大学は封鎖された。「文学を研究するよりも、作る方がおもしろそう」と大学院を中退し、二十六歳から雑誌に投稿を始めた。三十六歳で「きつねと小さなおいしゃさん」を初めて出版した。

 書くだけでは食べていけず高校などの非常勤講師を続けた。一方、それが作品に影響を与えた。最初は子どもの世界だけだったのが、大人とのかかわりを含めて描くようになった。大学のサークルの同級生で、フリーのつづれ織り職人で活動する夫にも支えられた。

 子どもは近年、少子化で、大人の影響を受けやすくなって「こうでなければだめ」と考えていないだろうかと思う。「人生は何でもできる。おもしろいよ」。今後も文学で、伝えていく。

【2007年10月19日掲載】