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「これまでの自分にこだわらない」 海外赴任 人生の転機に

ボクシングジムに通う 島袋啓子さん(60)=下京区
「自分らしく前進したい」とパンチを繰り出す島袋さん(京都市中京区)

 ボクシングジムの扉をくぐると「スーパー啓子」に変身した。赤いタンクトップに着替えると鍛えられた筋肉がのぞき、軽やかなステップでサンドバッグにパンチを繰り出す。三人の子どもが手を離れ、三年前から始めた。二十代の若者に混じって汗を流す。「今まで使わなかった筋肉が目覚め、脳まで活性化される感じ」と息を弾ませる。

 堀川高時代に通訳にあこがれ、京都外国語大英文科を出て語学関係の会社に就職。転職した貿易会社からフィリピンに赴任したのが大きな転機になった。

 現地の特権階級と知り合い、華美な生活に魅せられた。そこで知り合った沖縄の木材貿易会社社長と結婚し、約八年間、沖縄で暮らした。夫の仕事で子ども三人を伴って再びフィリピンへ。裁判の通訳、コンサルタント、ラジオのDJなど同時並行でこなし、企業の渉外員として欧州やエジプトも行き来した。

 一九八〇年代、フィリピンは政治の激動期。常に危険と隣り合わせの一方、国際色豊かな環境が子どもを育てるには適していた。子どもが海外で自立し、「これからは好きなことを」と単身で故郷の京都に戻り、八十六歳の母と暮らし始めた。米国の大学の調査コンサルタントをしながら、ボクシングのほか、週一回はキックボクシングのジムにも通う。「ようやく手にした自由。これまでの自分にこだわらない生き方がいい」

【2007年11月23日掲載】