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「健常者以上に指導の喜び」 踏水会での経験生かす

身体の不自由な人たちに水泳を教える 薮原綾子さん(60)=北区
「わたしの指導は厳しいですよ」。機能回復のための水泳を教える薮原さん(京都市伏見区・伏見港公園プール)

 二十年ほど前、ある映像を見て「号泣した」という。障害者スポーツ指導員の資格取得のための研修の際、両腕のない人が腰だけを使ってバタフライをする姿が画面に映った。「障害者にかかわりたいと思った大きなきっかけです」と振り返る。

 まもなく、京都踏水会(左京区)で七年間指導員をしていた経験を生かし、知的、身体障害者のための「洛楽会」を設立した。体に不自由があっても水中では体が浮く。目に見える進歩を遂げると「健常者以上に、本人も、教えるわたしも喜びを感じる」と強調する。

 小学五年から高校二年まで京都踏水会(左京区)で鍛えた。結婚し、プールから遠ざかった。三十歳の時、二人の娘を踏水会に送迎するうちにやる気が戻った。負けず嫌いの性格で、二年で卒業試験をパスし、コーチに上りつめた。辞職したものの、障害者との出会いが人生を支えてくれた。

 現在、伏見港公園プール(伏見区)で機能回復のための水泳を教えている。足の不自由なお年寄りの体を水中で支える。「おなかを上げて」。時には厳しい言葉もかけるが「少しでも自立してほしい」との願いの裏返しだ。

 自身も十年ほど前からマスターズ全国大会に出場し、東京五輪で「ミミ」の愛称で人気を博した故・木原光知子さんのライバル選手としのぎを削っている。「マスターズもコーチもできるだけ長く続けたい」。健康的な若々しい横顔がプールサイドで光った。

【2007年11月30日掲載】