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「資料と人つなぐ 頼れる人に」 プロ意識、後輩に伝授

京都嵯峨芸術大付属図書館司書 淀川裕美さん(59)=右京区
学生と語らう淀川さん。来年定年を迎えるが、「持っているものを全部伝えたい」と意気込む(京都市右京区・京都嵯峨芸術大付属図書館)

 京都嵯峨芸術大付属図書館(京都市右京区)の開館時から司書として運営に携わる。蔵書管理の外部委託など図書館が変わる中で「資料と人をつなげるのは司書です」と、培ってきたプロ意識を後輩たちに伝えている。

 大学を卒業してすぐ、同館でただ一人の司書となった。「とにかく引き出しを増やしたい」と美術館や博物館巡りで知識を深め、利用者の質問や連絡先をカードに書きためて勉強を重ねた。手探りの努力は「六万冊まではどこに何があるか分かる」ほどにまで実った。

 だが、仕事一筋というわけにはいかなかった。三十歳で離婚。一時は子ども二人の親権を手放そうと思った。実家の熊本県に帰る途中、立ち寄った喫茶店で家族連れを見て、思いが変わった。「やっぱり、わたしは親だ」。仕事と子育てを両立する覚悟を固めた。

 つらい時期が続いた時、職場で「君、最近本読んでないね」と指摘され、ショックを受けた。小説のような体験だった離婚の気苦労を思い出しそうで、好きだった本を避けていた。「わたしは司書なんだ」。本屋に行き、唯一手を伸ばせたのは子ども向けの本だった。

 思春期の子どもらを描いた作品たちは、一対一の関係を大切にすることを教えてくれた。「今のわたしがあるのは、あの経験のおかげです」

 目指すのは「頼りになる図書館」だ。『何でも聞いてよ』って手ぐすねひいて待ってますから」と、いたずらっぽく笑った。

【2007年12月7日掲載】