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「夫の人生、同じ気持ちで応援」 地道な努力で会員支え

身体障害者 馬とのふれ愛倶楽部スタッフ 山下美恵子さん(56)=西京区
馬とのふれ愛倶楽部の活動を地道な努力で支える山下美恵子さん(京都市西京区)

 障害や心の病がある人らが乗馬を体験できる「身体障害者 馬とのふれ愛倶楽部(くらぶ)」で、会員名簿作成や会計など事務作業の多くを担当している。乗馬の集い当日には、みんなが楽しめているか、一人一人の様子に気を配る。

 同倶楽部は、網膜の病気で失明した夫の泰三さん(60)が六年前に立ち上げた。きっかけは「景色が見えなくても、空気が違う大自然の中で心を休めて」と、美恵子さんが誘った北海道旅行だった。道中に寄った牧場で乗馬の魅力を知った泰三さんは帰宅後、一人で馬に乗ることを目指して乗馬教室に通い始めた。

 京都市右京区京北の牧場まで毎週、美恵子さんが車で送った。落馬で全身を打った時は「もうやめて」と言いたかった。しかし「家の中で暗い顔をしていたころより、表情が和らいでいくのがうれしかった。何より一度決めたら引かない人だから」と見守り続けた。

 今、美恵子さんの毎日は多忙だ。朝、洗濯や部屋の片づけをして、パート務めから帰ってすぐに夕食の支度。その後、倶楽部の事務をこなす。

 泰三さんとは見合い結婚だった。「優しさにひかれたのかな」と照れながら振り返る。残業も多かった会社勤務や乗馬への挑戦、倶楽部の運営と、常に泰三さんの人生を隣で支えてきた。

 「全部、家族やまわりの人の幸せを考えた行動だったから、同じ気持ちで応援し、一緒に走ってこれたんだと思う」。そう話す笑顔から、自然な優しさがにじんだ。

【2008年2月15日掲載】