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「研究成果、地域に還元したい」 お年寄りの笑顔に喜び

認知症の予防や改善を目指す音読・計算活動に携わる 高橋伸子さん(59)=北区
「高齢者の方と互いに学び合いながら音読・計算活動を続けていきたい」と話す高橋さん(京都市北区)

 大学の専門分野について語る娘や息子の輝く目に、心を動かされた。「学ぶことは魅力的だ」と気付き、九年前に二女と一緒に大学に入学した。大学院まで進み、現在は立命館大人間科学研究所の客員研究員として、高齢者の脳の活性化などを目指す音読・計算活動に取り組んでいる。

 一度目の十−二十代の大学生活は目的を持って勉強していたわけではなく、「楽しく遊んでいた」と笑う。二度目は、生命倫理や自己決定について学び、音読・計算活動を進める同研究所の高齢者プロジェクトにもスタート時から参加した。

 その一方で、主婦業もバランスよくこなす。すべてに完ぺきさは求めず、みんなが快適に過ごせることを心掛けているという。入学してしばらくは仕事も続けていた。

 昨年から、北区役所と連携し、大学周辺の二学区で音読・計算活動を始めた。「地域に密着した形で、大学の研究成果を還元したい」と力を込める。参加したお年寄りが帰る時にいい表情になるのがうれしい。

 京都府内の短大の講師や、自治体の介護認定審査会委員も務める。いずれも思いがけず引き受けたが、「場所を与えられたら下手でも頑張ってみようと思うようなった。その都度新しい自分を発見できる」と前向きだ。

 力を出し切って修士論文を提出した夜、寒さを忘れて見上げた月は、大切な宝物だ。そのときの思いを胸に「高齢者が最後まで自己決定を手放さないようにどうサポートできるか研究を続けたい」。

【2008年2月22日掲載】