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「もう一度仕事をしたい」 お客さんにあうものを

がんを克服し着物販売を続ける 赤澤和子さん(59)=下京区 
商品の反物を広げて点検する赤澤さん(京都市東山区)

 病魔に二度襲われた。最初は乳がん。四年前、着物の問屋に勤めている時だった。午前中に告知を受け、その足で職場に向かった。「怖かったが、自分がしっかりしないとという気持ちの方が強かった」。乳房の摘出を余儀なくされた。

 二度目は二年前。リンパへの転移が分かった。その時は着物の小売り店で働いていた。入院先で倒産を聞いた。死を意識したからこそ、手術が終わった時、思った。「もう一度仕事をしたい。思い切り働きたい」。

 大好きな着物にかかわって約二十年。現在、祇園にある着物小売り店で働く。「場所柄、着物慣れした水商売の方から大学生、観光客まで客層は幅広い。少しでもお客さんにあったものを提供したい」と話す。

 着物に携わったのは三十代前半。結婚し、子ども二人が落ち着いてきたころだった。自宅で、白生地に模様を浮き立たせる工程に従事した。

 五年ほど続けたが、不景気で仕事が徐々に減った。子どもも中学生になり、室町の問屋で働き始めた。主に、小売り店や消費者からの商品に関する問い合わせや苦情の対応を十四年間務めた。「とても勉強になった。着物は時間とともに変化する生きものだと実感した」と振り返る。

 今も再発の危機がない訳ではない。だからこそ「自分が必要とされる素晴らしさ」をかみしめながら、これからも働き続ける。=おわり