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(4)「今できることしよう」

家電、情報…きっと必要 受け入れへすぐに動いた
生活情報の説明会で、避難者に家電レンタルの説明をする(左から)角森さんと山村さん(9日、京都市山科区)

 「被災地から多くの人が来る。冷蔵庫や洗濯機が要るから取っておいて」。京都市山科区の西野学区社会福祉協議会事務局長、角森範久さん(69)は、知り合いの廃品回収業者やレンタル店など5社に次々に電話をかけた。

 自身も住む市営山科住宅では最大60戸が避難者向けに用意され、3月中旬から入居が始まった。「家電がなければ、たちまち生活に困るはずだ」。市から受け入れの説明を受けた角森さんは、すぐに行動を始めた。

 阪神大震災では現地にボランティアとして駆けつけた。今回は被害が大きすぎ、現地ではボランティアの受け入れ態勢が整わない。被災者のために、何ができるのか。あの日以来、もどかしさを抱えていたが、京都にいながら、やれることが見つかった。

 区内のリサイクル店「Neo」に飛び込んだ。「避難者に、電化製品を安くレンタルしてもらえないか」。店長の山村高徳さん(33)は、突然の申し出にも関わらず真剣に耳を傾けた。

 山村さんも被災地がずっと気になっていた。趣味はサーフィン。波乗りを楽しんでいた多くの愛好者が津波にのまれたと仲間から聞いた。海で知り合った友人のうち、東北に住む8人の安否がいまだ分からない。「おれも何かしたいと思っていたんです」。利益を度外視しての協力を約束した。

 地元住民でつくる西野学区社協は組織として避難者支援を決めた。活動第1弾として、スーパーや病院の紹介、交通機関の案内など、日常生活の質問に答える相談会を開くことにしていた。

 その相談会が翌日に迫っている。山村さんは3人の従業員に呼び掛けた。「小さなことでも、今みんなができることをしよう」。さっそく取引先を回って家電をかき集め、深夜までかかってチラシを作った。

 3月26日に開かれた第1回の生活相談会。格安の家電レンタルは避難者に喜ばれた。原発事故の影響で福島県南相馬市から避難してきた主婦鈴木初子さん(62)は「コインランドリーを使ったりしていたので、安い洗濯機は本当にありがたい」と感謝する。

 生活相談会はこれまでに3回開いた。「現地の情報がほしいが、インターネットができない」。そんな要望を受け、角森さんは区社協に避難者向けのパソコンを設置してもらうなど、できる限りの手助けを続けている。

 角森さんは、生活物資が整った次の段階の取り組みを練っている。お茶を飲みながら同郷の人が話し合えるような場作りだ。いずれ地元住民に加わってもらい、顔なじみの関係を広げたいという。

 「住民の中には、何かしたいという思いの人が大勢いる。避難者に寂しい思いだけはさせたくない」

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【2011年4月15日掲載】