京都新聞TOP > 政治・社会アーカイブ >命ときめく日に
インデックス

医の先端実情 読者から反響

前向きな生き方 励まされた
「命ときめく日に」第2部に寄せられた読者の手紙やファクス、メールなど
 京都市左京区の主婦(62)は弟を小児がんで亡くされたことなどから、「iPS細胞(第一回)や脳波スイッチ(第二回)など先端の医療科学が患者を救うのは素晴らしいが、そこに不公平がないようにしてほしい。高齢者や低所得者など弱者が見放されないように」と訴えられました。
 長岡京市の看護師Hさん(32)は、希少難病の治療(第三回)や人工透析が普及した経緯(第四回)を取り上げた話に触れ、「現場にいても知らないことでした。こういう『命の選別』が行われる流れは、これからますます強くなっていきそうです。後期高齢者医療制度のごたごたをみているとまさにそうです」と書かれています。
 大学病院で移植手術にかかわった経験も踏まえ、移植を受けた男性の話(第七回)について「こうしてメディアで気持ちを語ることは意義があります」とも。取材でも関係者から「移植は受けたい人も、受けた人も当事者がなかなか声を上げないから、社会的な認識がすすまない」と聞きました。臓器の提供家族と受けた側の双方に、まだ「ひっかかり」があるようです。
 城陽市の女性Yさんは二年前、九十歳で亡くなった母親がアイバンクに登録していたため、献眼した経験を手紙に記されています。「移植は過渡期の医療といわれようと、必要不可欠です。理解を広げるには、ドナーの遺族が提供して良かったと思える社会をつくることです」
 難病については当事者からもたくさんいただきました。大動脈炎症候群(脈なし病)という高島市の女性Yさん(64)は結婚し、二人の子どもを育てた経験を切々と記され、「病と寿命は別と信じて生きている」と。
 化学物質過敏症という宇治市の女性Mさん(37)は、「病気を理解してくれる医師も少なく、治療法も薬もないに等しい。生きることが困難に思え、落ち込んでいました」。第三回に登場した遠位型ミオパチーの中岡亜希さんの前向きな生き方に励まされたといいます。一方で、皮膚がもろく出血しやすくなるエーラスダンロス症候群を患う右京区の女性は、治療法の研究さえされていない、と嘆かれています。
 人工透析の負担を増やす動きには、遺伝性腎不全という長浜市の男性透析患者(62)、先天性の多発性嚢胞腎という南区の女性(51)、山科区の男性透析患者(55)などから怒りの声が届きました。
 ALS(筋委縮性側索硬化症)患者を取り上げた第五回には、介護家族の方などから反響がありました。
 義父が二年前にALSと診断され、自宅で介護する山科区の女性や、息子がALSという京都市内の女性(62)は介護家族などの交流を望んでおられます。ALSの妹を亡くした京都市内の女性は、義母の介護などで「軽いうつ状態」としながら、「明るく暮らしておられる病気の方々に元気づけられた」。
 ALS患者の講義を大学で受けた立命館大二年の女性Hさんは記事を読んで「病で、できないことが増える一方、新しくできることがあったり、新しい出会いがある。希望を持って生きる大切さを感じました」。同じくALS患者の講義を受けた大学生の男性は、「人工呼吸器をつけるかどうかを相当悩んだと言っておられました。その方から『あなたは難病になっても最期まで生きますか?』と言われ、生きる尊さを思い知らされました」。
 第2部は、とどまることのない医療の進歩と、実際の医療・福祉現場の溝に焦点をあてました。冒頭の看護師さんはこうも書かれています。「医療の研究は日進月歩ですが、臨床現場は人が相手。最新や標準の医療がベストとは限りません。人を救うという医療の目的を大事に、患者さんと向き合いたい」
 重い言葉だと感じました。第3部は三月に連載の予定です。(「命ときめく日に」取材班)
(京都新聞朝刊2009年1月19日)