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医療の今に読者から切実な声

「つなぎびと」奮闘に勇気
家族が見守る中、往診する医師(京都市左京区)=連載第1回から
 四月二十日付の朝刊から連載した「命ときめく日に 第四部・つなぎびと 医療編」(5回)に対し、ご意見や感想を募ったところ、多くの手紙やファクス、電子メールをいただきました。一部を抜粋して紹介します。
 京都市内の病院で三人目を出産したMさんから「一週間前、出産を終えて退院しました。子どもは生後四日で亡くなりました」といただきました。  出産前に異常が見つかり、90%助からないケースながら、医師や看護師の奮闘もあり「短い命でしたが、会えることができました」。満床のNICU(新生児集中治療室)、他の病院とかけもちの医師、当直で駆け回る看護師。そんな姿を実際に見た上で、「記事を読み、わたしたちが安心して医療が受けられるよう関心を持っていきたい」と結ばれています。
 京都市伏見区の看護師Nさんは病院勤務が十年目。医師と同じく不足する看護師は病院間で取り合いになっているといいます。「高い給与を求めて病院を渡り歩いたり、文句をいう患者をクレーマーと呼ぶことに、これでいいのかと感じる」とも。記事に登場した医師、助産師、看護師らの姿に「どんなに制度や環境に問題があっても、苦しむ患者さんがいる限り、『つなぎびと』として向き合おうと心を奮い立たされました」とあります。
 京都市の主婦(49)は五年前に実母をがんで亡くし、一年前まで義母の認知症介護を三年続けました。「ふだんは分からなかった医療や介護の問題に直面しました。がんと言われたら、どうしたらいいのか。何が正しい情報なのか。認知症に必要な介護サービスは何なのか。今となっては、もっと勉強していればと思うことばかりです」
 宇治市の女性Nさん(63)は大腸がんを体験し、最近は実姉が乳がんを患っています。三回目で取り上げた看護師や心理士らの緩和ケアチームの活動に、「どれだけ患者への励ましと安らぎになることでしょう。緩和ケアの充実が、今後のがん対策の大きな課題になると思います。苦しんでいる患者の心の叫びを感じた記事でした」
 医療ミスを描いた第四回を受け、「わたしも誤診を体験しました」という大津市の会社員Tさん(35)。「後で近所の評判を聞くとトラブルの多い医師でした。患者がミスを報告し、それを調査する機関がないとおかしい。医師バッシングは頑張っている医師に気の毒。それだけに問題のある医師を公平に処分する制度が要ります」
 南区の女性Iさんからは三歳のひ孫が誤診を受け、亡くなった経験を長文の手紙でいただきました。宇治市の女性Tさんも医療ミスの体験をつづられています。
 京丹波町の女性Hさん(58)は第二回に触れ、「医師不足に立ち上がる母親たちの記事に勇気百倍。同時に『あなたはどう考える?』の欄に現実を痛感します」といいます。「わたしの近所の診療所も医師が減り、救急の受け入れや入院ができなくなりました。田舎やしんどい仕事を嫌がる医師が増えているのは、お金がある家のエリートばかりを医師にしてきたツケではないでしょうか。志のある人が医師になれるようにするべきです」
 往診医を取り上げた第一回や第五回には、多くの問い合わせもいただきました。「うちに往診にきてもらえないか」「近所に同じような医師はいないでしょうか」。切実な声は、情報の不足の裏返しです。
 十カ月前にがんが見つかったという匿名読者は「がん往診対応の医師が少ないことが初めて分かった。一人の医師だけでは限界があります。各地域のシステム作りが必要」と訴え、正確な情報の提供を行政に求めます。
 第三部と第四部は介護、医療の「つなぎびと」を追いました。人と人、人と地域、制度をつなぐ熱い思いに希望をみる一方、彼らの背負う問題や矛盾の大きさも痛感しました。課題を拾った「あなたはどう考える?」にも、多くのご意見をいただきました。今後の取材に生かしていきます。
(「命ときめく日に」取材班)

(京都新聞朝刊、2009年5月11日掲載)