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(2)2度目の休職、人生の夏休みと

「無理のない職場」求めて前向きに
休職中のシステムエンジニアの男性は毎日、寝付き具合を克明に記録している。斜線部分は、布団の中でも目が覚めている時間帯。棒グラフの下には、服用した薬の一覧が記載されている

 再就職を目指し、活動を始めて一カ月。その約半年前に勤務先を辞めた京都市の男性(36)は、ようやく初の面接にたどり着いた。「こんなに休んでいる理由は」。面接官の質問に正直に「うつ」と打ち明けた。

「うつ」隠して職探しするが

 「あなたには荷が重すぎるかも」。返事は冷たかった。以来、病歴は伏せて活動している。「言えたら楽だけど、怖くて」。

 以前の勤務先の残業時間は、一カ月で実質百二十時間を超した。眠れず、胸の痛みも続いて「抑うつ神経症」と診断された。

 一カ月の休職後、上司に「元の職場は無理です。別の部署で働けませんか」と思い切って申し出た。「ほかは足りてる。どうしようもない」。その場で退職届を差し出され、母印を押した。

 つらい経験から、再就職先選びは慎重に進めている。残業が少なく、きちんと休日が取れるか。不眠などはよくなってきたものの、「新しい職場で働きすぎてまた調子を崩したら」と考えてしまう。

 どん底の時は、テレビを見るのも苦痛だった。それでも「目を合わそうとしなかったのに最近、仕事への思いを話すようになった」と妻(36)は回復への兆しを感じている。

 「とりあえず生活をしていかないと」。男性は自らを鼓舞し、スーツ姿で街へ出る。

時間かけて復職待つ社も

 うつ病などのメンタルヘルス疾患は一般的に回復に時間がかかるとされるが、こうした社員に対し、事業所の対応はさまざま。退職を促すケースがある半面、時間をかけて復職を待つところもある。

 東京の大手企業でシステムエンジニアとして働いていた男性(32)は、昨年五月から大阪府内の実家に戻り、二度目の休職中。日々の投薬、睡眠時間などを細かくメモした手帳を手に、物静かに話し始めた。

 四年ほど前。国立大大学院を経て入社して三、四年目のころだった。残業で終電に乗れず、ホテル泊まりの日も。頭痛や不眠…。心療内科で「自律神経失調症」と診断された。

 服薬を続けたものの休みがちになり、一年半休んだ。休職期限の一年半後。元の職場に復職したが、回復は十分ではなかった。半年後に再び休職した。

 一番のつらさは熟睡できないこと。午後十一時に布団に入ってもぐっすり眠れず、午前三、四時には目が覚める。昼間も「徹夜明けのような状態」でしんどい。抗うつ薬二種類に加え、五種類の睡眠薬が欠かせない。

 最近は症状が好転してきた。努めて午前八時には起き、近所を散歩するよう心がけている。日中はスポーツジムで軽く汗を流す。

 三カ月に一度、訪ねてくる上司に症状を伝える。来春の復職を見据えるが、前回は無理が来た苦い経験から、「簡単な仕事から始められるリハビリ的な部署があれば」と要望を伝えている。

 「仕事ばかりしていた時と比べ、気持ちは楽になりましたね」と話す。「人生の夏休み」。前向きにとらえるようにしている。

メモ

心の悩み、精神症状について相談できる主な公的窓口
京都府精神保健福祉総合センターTEL075(645)5155
京都市こころの健康増進センターTEL075(314)0874

【2008年10月19日掲載】