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「うつ」の種類や注意点 一律の対応取ると、混乱も

京都産業保健推進センター相談員 中嶋医師に聞く
「うつ病には、不眠などの身体症状が伴うことを知ってほしい」と説明する中嶋章作医師(京都市北区)

 メンタルヘルス(心の健康)問題の中心となる「うつ」には、さまざまな症状がある。どんな特性があり、周囲はどう配慮すればいいのか。京都産業保健推進センター(京都市中京区)の産業保健相談員、中嶋章作医師(精神科)に、病気の基礎知識や患者と接する際の注意点を聞いた。

不眠や食欲不振など、多い身体症状

抑うつ状態のサイン

 −「うつ」には、どんな種類があるのか。
 おもしろくない、気が滅入るなどの「うつ気分」はだれにでもある。これに意欲低下や集中困難、決断不能などやや病的な状態が加わったのが「抑うつ状態」。さらに特化した疾患が「うつ病」だ。うつ病は従来、「気分障害」という大きな分類の中の一つ「メランコリー親和型うつ病」を指した。

新しいタイプ

 −「新型うつ病」という言葉も聞くが。
 気分障害の中でも、昔はうつ病と診断しなかった気分変調症、非定型うつ病を指す。「気分障害イコールうつ病」は誤解だ。
 加えて、「ディスチミア親和型うつ病」という概念が、新たに提唱されている。従来のうつ病にみられる几帳面さや他者への過剰な配慮を持たず、逆に社会の規範すらストレスと受け取って、症状も他人のせいにしてしまう。

 −うつ病にはどんな自覚症状があるのか。
 うつ病には精神症状だけでなく、ほとんどは身体症状もある。一番は不眠で食欲不振にも陥りがち。腰痛は精神的症状に関連していることが多々ある。

 −周囲はどう対応したらいいか。
 一般的に本人はうつ病となかなか認めたがらない。周りは「ちゃんとご飯食べてるか」といった体の症状から指摘するなどの気遣いがほしい。
 メランコリー型には励まし、気晴らしが逆効果になることが多い。ただ、新型うつ病やディスチミア型に同じ対応をするのは、必ずしも適切ではない。むしろ「もっと頑張れ」と言わなくてはいけない場合もある。うつといっても一律の対応を取ると混乱が生じる。

 −医療機関の選び方はどうしたらいいか。
 いきなり精神科に行くのに抵抗がある人に対しては、身体症状を話題にしながら、まず内科の受診を勧める。そこで体の病気がないと分かると、うつ病ではないかと気付く。最近は抗うつ剤をくれたり、精神科を勧めてくれる内科医もいる。

完全な休養を

 −うつは治るのに時間がかかるのか。
 理想的な休養と薬物治療を始めれば、三カ月ほどで表面的な症状は回復する。「理想的」というのは、仕事から完全に離れられて、十分な薬物治療ができる状況のこと。表面的な回復とは症状が消えた「寛解」を指し、完全に治ったわけではない。すぐに復職できるかは別問題で、会社は復職プログラムなどに即して対応することが必要だ。

 −完全に治るのか。
 理想的な休養と薬物治療は、現実的にはむずかしい。薬で症状は軽くなるので、みんな中途半端にごまかしながら仕事を続けてしまう。そうすると長引いてしまう。入院も一つの選択。病院側の受け入れ態勢も以前より整ってきている。早期発見、早期対応をすれば回復が早いのは間違いない。

【2009年1月18日掲載】