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(3)外部専門家と連携し有効な対策

無料で面談 安全網づくりも会社の義務
外部の産業カウンセラーに仕事の現状を語る管理職の男性(左)。「不安や悩みを聞いてもらえた」。1時間にわたるカウンセリングを終え、男性はほっとした表情を浮かべた(京都市伏見区・新日本理化京都工場)

 ベテラン社員が不安を打ち明けた。「業務に追われ、後継者育成の時間を確保できないんです」。自らを責める訴えに産業カウンセラーがやんわりと返した。「仕事量を見直し、周囲に振り分けて」

 化学メーカー「新日本理化」京都工場(京都市伏見区)で今月上旬、管理職対象のカウンセリングがあった。同社はメンタルヘルス対策の一環で二〇〇七年秋、外部の産業カウンセラーと契約した。全従業員のカウンセリングを実施中で専用ホットラインを開設。個人面談もできる。

費用対効果 十分メリット

 カウンセラーなど専門家が対策をサポートする「外部EAP」(従業員支援プログラム)の活用が、広まっている。厚生労働省も〇六年三月のメンタル対策指針で、外部EAPを「四つのケア」の一つにあげている。

 同社はカウンセラーの見解を迅速に職場環境改善に反映させている。遠方の工場で不調者が出たケースがあり、労務担当の原健二常務(52)らがカウンセラーと現地に急行。カウンセリングを踏まえて業務過重と判断し、すぐに現地で負担軽減を管理職に指示した。従業員は、数日の休みで職場に戻れた。

 原常務は「外部の専門家の目線で一貫した助言をもらえ、妥協なく対策ができる」と連携の効果を説明する。

 同社の試算では、働き盛りの従業員一人が一年間休職すると、派遣社員による人員補充や休職中の賃金などで会社の持ち出しは千五百万円超。健康管理だけでなく、費用対効果からも十分なメリットを見い出している。

 京都市は、〇七年度から人事異動後の非管理職のうち、希望者に面談を行っている。慣れない部署で不調になる人が少なくない点に着目した珍しい取り組みだ。本年度は対象者の八割の約千九百人がカウンセラーと一対一の面談を受けた。

 業務は京都工場保健会(中京区)が受託。専門家の目から気になる職員は、本人の同意を得た上で保健師の二次面談につなげ、専門医の受診を勧める。

 「面談は大勢が対象で外部の力が必要。メンタル不調は誰にでも起こりうると認識してもらうきっかけにもしたい」(市厚生課)。

育児や介護の相談も可能

 堀場製作所(南区)も五年前、対策の一つとしてカウンセリング機関と契約した相談サービスを始めた。申し込みに会社を通さないのが特徴で、フリーダイヤルやメールでの相談、専門家との面談が直接頼める仕組みだ。

 社員の費用負担はゼロ。誰がどんな相談をしたのかは、会社には知らされない。相談の内容は本人の体調や人間関係に限らず、家庭や育児・介護、部下に関する心配ごとなどについても認めている。

 管理本部の野崎治子・担当副本部長(53)はいう。「メンタル不調は職場に原因があるとは限らない。会社に相談しにくいこともある。社員が安心して働けるよう、セーフティーネットを増やすことは会社の義務です」

【2009年2月22日掲載】