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(4)復職前後のフォローが大切

 「試し出勤」で職場に慣れ、重圧緩和
復職支援プログラムの一こま。復職前後の参加者たちは専門スタッフとやりとりしながら、それぞれ前進できた点や反省点を振り返る(2月7日、大阪府枚方市・関西記念病院)

 「仕事はまだ遅いですが、毎日勤務できたので八十点です」。復職を果たしたばかりの京都府内の公務員男性が一週間を振り返り、自己評価した。

 大阪府枚方市の関西記念病院。ストレスケア専門病棟で開かれる復職支援プログラムの一こま。メンタル疾患による休業からの職場復帰を目前にしたり、達成した男性五人が集まった。担当スタッフの精神保健福祉士吉川聡一さん(36)は「復職の直前・直後は現実の課題に直面する。復職後のフォローが特に大切」と狙いを話す。

福祉士らと対話 対処法を考える

 公務員の男性は復職後の工夫として、一−二時間おきに自席を離れ、気分転換したことを挙げた。復職を目指す会社員から「残業なしで帰るときはどんな気持ちですか」と質問され、「『すみませんが帰らせてもらいます』と言う勇気が必要」と答えた。

 吉川さんは「ストレスを回避できるよう、今までと違うやり方をしていていいですね」と感想を述べた。参加者は対話を通して自分を見つめ直し、対処法を考え、自信を取り戻していく。

 長期休職からスムーズに職場復帰へ移行させる支援策の一つに「試し出勤」(リハビリ出勤)がある。本人が職場に慣れるための準備期間で、厚生労働省の手引きも検討すべき事項に挙げている。

 京都新聞社が昨年、京滋の上場企業と自治体を対象に実施したアンケートでは「試し出勤を実施している」69%、「制度化している」30%だった。  試し出勤のとらえ方はさまざまだ。

 自治体では京都市、宇治市が要項を定めている。ともに休職中の扱いで無給。通勤費はなく、労災も適用外。内部の審査や健康管理担当者との面談などを経て、業務内容や時間などの計画を決めている。

 期間は京都市が「原則一カ月間」とするのに対し、宇治市は「二週間以内」と短めに設定。「あくまでも休職期間中であるうえ、受け入れ職場が気を使うから」(職員厚生課)

短時間勤務や 配属先を考慮

 試し出勤を「勤務」と位置づける企業もある。京都市伏見区に研究開発拠点を置く新日本理化(本社・大阪市)の「仮復職制度」は、休職明けの体調に応じて短時間の勤務を認める。基本給の八割を保障し、諸手当もすべて支給する。期間は最長一年。病気などで休職できる期間は勤続年数に準じるため、若い従業員にも十分な休養を確保。復職への焦りを緩和する措置だ。

 スーパーの平和堂(本部・彦根市)は制度化はしていないが、育児や介護用に設けている短時間勤務制度をメンタル不調者の復職にも応用している。

 例えば一日五時間勤務から始め、徐々に八時間に戻していく。勤務時間帯を午後にしたり、自宅近くの店に仮配属するなどの配慮もする。「制度を柔軟に活用し、本復帰前の息継ぎができるようにしたい」(人事課)。

 休職期間は、解雇への「猶予期間」でもある。復職に対するプレッシャーを弱めるための工夫が模索されている。

【2009年3月1日掲載】