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(7)中小企業も産業医受け入れやすく

助成金、無料派遣制度で予防に力点
コミュニケーションの大切さを年間テーマにした勉強会。パート従業員たちが参加し、アットホームな雰囲気で行われた(2月25日、京都市伏見区・阪口製作所)

 窓の外からフォークリフトのエンジン音が響く。京都市伏見区の金属プレス加工会社「阪口製作所」(従業員約百二十人)。食堂に作業着姿のパート従業員らが集まってきた。恒例の勉強会だ。

カウンセリング制度が定着

 テーマは「笑顔と思いやり」。同社と顧問契約を結ぶ産業カウンセラー望月昇さん(52)=愛知県=が「安心感は認められることから生まれる」など、身近な例えを織り交ぜながら語りかける。顔なじみの出席者からは時折、笑い声がもれた。

 同社は十五年以上前からこういった時間を勤務中に設けている。京都府宇治田原町にある工場を含めて毎月計三回開き、個人カウンセリングもある。

 阪口雄次社長(61)は「ものの見方を考えるきっかけにしたいと思って始めたが、結果的にメンタルヘルス対策になった。中小企業独自のやり方があってもいい」と力を込める。

 従業員の心の状態が組み立て部品の品質に影響するのではないか−とかつて実感した。パート・アルバイト女性の定着率の高さにも手応えを感じている。

 メンタルヘルス対策の必要性が叫ばれても、人員や予算が限られる中小の事業所には浸透していないのが現状だ。特に小規模事業所(従業員五十人未満)は、健康管理を担う産業医の選任が義務づけられていない。そこで、産業医と契約する費用負担を軽減する制度がいくつかある。

 国の「産業医共同選任事業」は、複数の事業所が一集団として一人の産業医を頼めば、年間八万六千円まで助成金が受けられる。

 小規模の関連事業所でつくる「旭金属グループ」(上京区)は助成金を活用し、年二回、職場巡視や健康相談を受けた。担当者は「職場改善に専門的な助言がもらえ、産業医はなくてはならないと感じた」という。

 ただ、窓口の京都産業保健推進センター(中京区)によると、本年度の助成金利用は十一集団だけ。PR不足に加え、経済情勢悪化もあって事業所側に産業医を受け入れる余裕がないのではと、みている。

 もう一つが、認定産業医の無料派遣だ。京都南地域産業保健センター(京田辺市)は、国から事業を受託。伏見、宇治久世、綴喜、相楽の四医師会の医師が登録申請した事業所を訪問し、保健指導にあたる。本年度は約五十件にのぼる。

従業員の理解求め地道に

 厚労省のメンタルヘルス指針は事業所内外の専門スタッフ活用など「四つのケア」を推進するが、「小規模事業所では現実的ではない。健康対策への認識が低い事業主もいる」と、コーディネーター平林裕さん(80)は現状を語る。

 同センターは家族からも働きかけてもらおうと、地域巡回相談や家族向けセミナー開催を地道に続けている。

 認定産業医の一人、相楽医師会長の藤木新治医師(60)はいう。「最初は相手にされなくても、何度か通ううち、従業員に必要性を理解してもらえる。健康相談の機会が持ちにくい小規模事業所での予防活動に、もっと力を入れていきたい」

【2009年3月22日掲載】