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読者の声より まだ足りぬ理解 でも前へ

傷ついた上司の言葉/知識持ってサポートを/じっくり診察して
メンタルヘルスの関連本が数多く並ぶ書店の棚。2年ほど前から毎月のように新刊が出る。「最近は職場の問題をテーマにした本が目立つ」と担当者(京都市下京区・ジュンク堂書店京都店)

 昨年10月から今月21日まで連載した「また働きたい−職場のメンタルヘルス」。たくさんの感想や意見の中で、多かったのが勤務先や医療側への不信感や要望です。「怠けていると言われた」「もっと話を聞いてほしい」。うつ病の当事者や家族の切実な声をまとめました。

 ◇上司や同僚へ◇
 「いまだに納得がいかない」とファクスの文面に怒りをにじませたのは、京都市中京区の男性(55)。百貨店で長年勤務していましたが、うつ病を発症。療養中に所属長から呼び出され、「いつまで怠けて休んでいるのか」などと言われたことが大きなショックだったと言います。

 「少数精鋭で成果主義。健康管理のセーフティーネットを強化していく意識は当時の経営者にまったくありませんでした」

 城陽市の女性(43)は、介護事業所でやりがいを感じて働いていましたが突然、うつ病になりました。診断書を勤務先に出すと、上司や経営者から「すぐに休みたいのか」などと責められ、悲しくなりました。自宅療養中に会社側からの連絡はなかったそうです。

 「公務員や大企業ではメンタルヘルス対策が充実しつつあるのかもしれませんが、中小企業ではまだまだ理解がなく、偏見の目で見られます」。幸い、友人や家族の支えがあって、前へ一歩ずつ進みだしています。

 第2部は、メンタルヘルス対策に工夫をこらす事業所や復職支援事例を紹介しました。「そういった取り組みは他社でも少しずつ導入していってほしい」といった意見の一方、「休職し、職場復帰しましたが、現実は記事のようにはいくものではありません」との声も届きました。

 大津市の自営業西隆司さん(51)は、会社員時代に労働組合支部役員を務めた経歴から「ケアや予防策で労働組合ができることを具体的に教えて」とメールを寄せました。「幅広い知識を持ってサポートしていく必要があるのでは」と実感したそうです。

 ◇医師たちへ◇
 「死なずにボチボチ暮らしています」。左京区の主婦(46)は、うつ病とは長い付き合いで「診察でゆっくり話を聞いてほしいのは患者共通の願いです」とつづりました。

 先の元百貨店勤務の男性は「医師は『薬がどれだけほしいのか』という感じ。病状や生活背景には関心を持ってくれない。現在の精神科医療が最善の治療方法なのか、もっと深刻に問われてもいい」と問題提起します。

 右京区の看護師(35)は「今の医療は国の診療報酬制度に振り回され、そろばんをはじかない院長はいないと言われています」と現状を嘆きます。

 連載では、医師同士で連携する動きや、中小企業向けの相談に応じたり、診察時間をあえて長めに確保する医師らの姿にも触れました。

 栗東市の元アルバイト女性(27)は何度か通院先を変え、ようやく納得のいく医師に出会えたと電話をくれました。「話をちゃんと聞いてもらえず、適切な対応をしてもらえないケースがほとんどでした。今は体調・環境状況などをしっかり聞いてくれ、薬が合わなければすぐに対処してくれます。患者の方がいい病院に出会えて、社会復帰できることを願います」

【2009年6月29日掲載】