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水源の里に住む女性陶芸家

自然のサイクルとともに
トレーシー・グラスさん(46)
 「自然のサイクルとともに生きている」−福井県境に近い綾部市老富町大唐内(おがらち)に住むトレーシーさんは言う。
 山里に移り住んで十九年。桜、カキ、ナラ、イチョウ…季節によってさまざまな樹木で灰釉(はいぐすり)を作る。それを綾部産の陶土で作った器やかめに、オリジナルな色が出るよう施す。後は自宅のまき窯の炎に任せる。「一つとして同じものはできない」と小さな器には色の「宇宙」が広がる。
 カナダで生まれ、カリフォルニア大学で文化人類学を学び、日本に留学。日本料理の器に興味を持ち、兵庫県芦屋市の学校で陶芸を学んだ。そこで知り合った在日韓国人の故崔華芬さんと大唐内に移り住んだ。澄んだ空気、清らかな水、満天の星、鳥のさえずりと、自然の魅力を挙げれば際限がない。家の中にひょっこり入ってきた玉虫の美しさにも驚いた。
 大唐内は十六世帯二十三人が暮らす。高齢化率が70%を超える「限界集落」とされ、綾部市が「水源の里」として再生を図っている。「厳しい自然が自然を守り、変な開発から免れてきた最高の土地。環境を何より大事にしてほしい」と願う。
【2008年3月13日掲載】