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水源の里の活性化に向け特産品づくりなどに励む 渡邉和重

廃村にさせない、古里への思い熱く
水源の里の再生に向け、特産品「山ぶき昆布」をつくる渡邉さん。「住民で協力して元気にがんばりたい」と語る(綾部市睦寄町・ふるさと味あやべ工房)

 地元のトチの実を使った特産品のおかきとあられを今月1日から販売している。綾部市睦寄町にある「水源の里」古屋地区(住民7人)で、自治会長として地域の活性化に取り組む。特産品づくりもその一環。販売初日には、あやべ温泉前広場の店頭に住民全員が立った。計80袋が販売開始から1時間ほどで完売。「住民一丸となって頑張った成果が出た。本当にうれしい」

 市東部を福井県小浜市に向かって走る幹線道路から南丹市美山町方面に向かう府道に入り、滝や赤く染まった紅葉を眺めながら車で5キロほどのところに古屋はある。草壁(くさかべ)川の水源の地に5軒7人が住み、渡邉さんを除く6人までが70歳以上の高齢者。自然の恵みを大切にしながら寄り添うように暮らしている。

 7人家族の次男として古屋で生まれた。大学時代を京都市内で過ごし、東京で就職した。30年間のサラリーマン生活を終え、6年前に古里に戻った。子どもの姿の消えた古里に「あきらめムードが漂っている」と感じた。小学校まで片道8キロの道のりを友人らとともに毎朝2時間半かけて歩いた記憶や、13軒70人がにぎやかに暮らし、子どもの笑い声が響いたかつての活気ある古里が頭をよぎった。「絶対に廃村にはさせない」

 2007年4月、綾部市は廃村の危機にある市東部の5集落の振興を目指し、水源の里条例を施行した。「人里離れた古屋に初めて光が向けられた」と振り返る。住民みんなが心から喜んだ。あきらめの気持ちが一転、行政に頼るだけでなく、自助努力を重視するようになった。トチの実の販売を手始めに、特産の山ぶき昆布など地域活性化に無我夢中で取り組んだ。

 高齢化が著しく進んだ地区の存続には、地区外の人に古屋の魅力を伝え、移住してもらうことが不可欠として「しょぼくれた表情では人を寄せつけない。自分たちが楽しそうに元気でいなくてはならない」。自然あふれる古屋に魅了され、移住を希望する人は多い。そんな人のために村おこしによって、地場産業を起こすことが大切だと考えている。

 「おかきづくりもまだスタートラインに過ぎない。古屋のために自分ができることに全力で取り組みたい」。古里に寄せる熱い思いを大きな声に込めた。綾部市睦寄町古屋在住。

【2009年11月11日掲載】