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読者の反響

相談できる場づくり必要
読者から寄せられた感想。「亡くなった子の代わりはいません」「夫婦で子のことを語り合うことが大切」など、どれも真剣な思いがつづられていた
 4月から15回にわたって連載した「寄り添う−赤ちゃん死を前に」に対し、たくさんのメールやファクスが届きました。その大半がわが子を亡くした家族から。「今も思い出さない日はない」「家族へのケアがもっと必要」など、切実な思いや意見の一部を紹介します。(日下田貴政)

当事者の思い

 かつて妊娠8週目で流産した宇治市の主婦(38)は「生命を授かることは奇跡のような確率で、当たり前のことじゃない。亡くなった赤ちゃんに、いつか会えると思っています」と言います。
 連載中、赤ちゃんをみとった母親もいます。京都市西京区の准看護師(34)は5月に双子を死産。連載を読んでいて「赤ちゃんが亡くなることなんてあるんや」と思っていたのが、当事者になってみて、記事に登場する人と同じ気持ちになり驚いたと明かします。
 下京区の主婦(32)は流産した直後にメールを寄せてくれました。失った子が喜んでくれそうなことをしようと思い至り、家族で「あいら」ちゃんと命名。「流産や死産で行き場に困ったら相談できる場づくりを自治体で取り組んでほしい」と要望します。
 父親からも。大津市の会社員(41)は妻が子宮外妊娠した後、2年前に初めて子を授かったといいます。「今は3人無事に暮らせていることに感謝し、手を合わせて毎日すごしています」
 9年前に息子2人を亡くした女性は、涙を見せたことがなかった夫が遺骨の前で涙を流す後ろ姿を目にして、「わたしたちは間違いなく2人のパパとママなんだ」と思えたそうです。

病院や周囲へ

 守山市の主婦(32)は6月、死産の直後にメールをくれました。入院中は、ピンクのおくるみに包まれた赤ちゃんのそばで過ごせたといい「先生と助産師さんに支えられました。本当にありがたかったです」と記します。
 10年前に男児を死産した女性(42)は、医師が「赤ちゃんには、お母さんのあなたに抱かれる権利があるよ」と声を掛けてくれたおかげで、わが子をしっかり抱きしめられたと言います。
 病院や周囲に感謝の気持ちを抱く人がいる一方で、不信感をぬぐえない人もいます。
 右京区の女性(44)は昨春、次男を生後5日で亡くしました。「失意の中で、どうして病院側は何の対応もしてくれないのかと、悲しみと同時に怒りにも似た感情がわき出ました」
 妊娠初期に流産した京都府精華町の公務員(37)は「よくあることだとか、仕方がないとか、周りにいろいろ言われましたが、納得できない」と。

医療者から

 「引退した産婦人科医」は、医学の発達で胎児異常の早期発見が可能になり、時には中絶の選択に至ることもあると触れ、「中絶後の精神的負担は、私は長期的にみることができませんでした」。
 大学院で「死産の死別時の喪失」を研究している大阪の助産師戸田千枝さん(50)は「医療への絶対的信頼が命の神秘や死への畏敬(いけい)を見えにくくしている。医療者も亡くなった赤ちゃんから命の尊さを課題としてもらっているように思います」と投げかけました。
 また、記事で人工死産(妊娠中絶)を選び、後悔している女性を紹介したところ、「身勝手です」というメールも。記事では、助産師の「中絶の決断まで十分悩んできたはず。責めるのは簡単だけど、そこから何も生まれない」という言葉を伝えました。
 最後に、男児3人の子育てに奮闘している南区の女性(41)から届いたメールを紹介します。「あらためて子どものぬくもりを感じられる幸せに気付かされました」

【2010年7月23日掲載】