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全国水源の里連絡協設立

集落再生 住民ら期待
全国水源の里連絡協議会の設立総会に参加した酒井さん=右、阪田さん=中、細見さん(東京都千代田区)
 存続の危機にある限界集落を「水源の里」とし、活性化を目指す条例を全国に先駆け施行した綾部市の取り組みが、百四十六市町村が参加する全国組織に発展した。東京都内で三十日開かれた「全国水源の里連絡協議会」の設立総会。総会には綾部市の水源の里の住民らも駆けつけ、集落の再生へ期待のまなざしを注いだ。

「交付金」国に要求採択 全国水源の里 限界集落再生へ連絡協設立総会 会長に四方綾部市長

 過疎高齢化で存続が危ぶまれる地方集落の再生を目指す「全国水源の里連絡協議会」の設立総会が三十日、東京都内で開かれた。自治体首長や住民など約百八十人が出席し、協議会長に綾部市の四方八洲男市長を選出。国に過疎特措法見直しに合わせた新たな再生交付金制度の創設を求めることを決めた。
 水源の里は、住民の半数以上を六十五歳以上が占め、共同作業が維持できなくなる可能性が高い「限界集落」を指す。今年十月に綾部市で開かれた「全国水源の里シンポジウム」で協議会設立を決め、全国の百四十六市町村が賛同。京都、滋賀からは十二市町が参加した。
 総会では役員選出の後、国に対し、二〇一〇年度に向けた過疎特措法見直しに合わせ、活性化に取り組む自治体にモデル事業を実施し、その財政措置として「水源の里再生交付金制度」を創設するよう求めることなどを盛り込んだアピールを採択した。また、第二回シンポジウムを福島県喜多方市で開催することも発表した。
 記者会見した四方会長は「自信と確信を持って水源の里の意義を訴えれば大都市住民も共感してくれる。きょうはその出発点だ」と力を込めた。

「特産品作り頑張る」

 綾部市東部の五つの「水源の里」の住民らでつくる水源の里連絡協議会の酒井聖義会長(79)=同市老富町大唐内(おがらち)=は、仲間が集う全国組織の立ち上げに感慨深げ。「この設立総会を機に、集落で特産品として取り組んでいるトチもちづくりを、ますます頑張る決意がわいてきた。国には財政的な支援を求めたい」と話した。
 総会の現状報告では、徳島県美馬市の牧田久市長が集落再生へ林業振興の重要性を訴えたが、綾部市睦寄町古屋(こや)の細見弘さん(74)は「林業を守らないと山は荒れる。しかし、水源の里の集落は高齢者ばかりで山仕事はできない。若い人と一緒に山を守っていく工夫が必要」と語った。
 また、同市五泉町市志(いちし)の阪田勇さん(77)は「集落復活の動きが本格化し、政府もその方向で動いてくれると期待したい。新規定住者のための住宅改修支援など、同じ悩みを抱えた全国の集落がお互いに連絡を取り合い、頑張りたい」と笑顔を見せた。
 連絡協議会の会長に選ばれた四方八洲男綾部市長は「上流は下流を思い、下流は水源の里の住民にここまで自然を維持してくれたと感謝する理念をもったとき、里の住民に誇りや自立の心が生まれる。国は来年度の予算に協議会の声を反映し、やる気のある市町村と集落の住民に再生に向けた施策の判断を委ねてほしい」と話した。
【2007年12月1日掲載】