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人の和が輪を広げる

綾部・和木町 4世帯15人移住 集落に活気
東京から移り住んだ金井さん夫妻の結婚記念の写真撮影会。たくさんの地元住民が2人の晴れ着姿を見守った(綾部市和木町)

 全国各地で過疎高齢化が問題となる中、綾部市和木町には二〇〇八年度、子ども七人を含む四世帯十五人が移り住み、集落が活気づいている。山里に何が起こっているのか、リポートする。

東京から夫妻

 「まあ、きれい」。ウエディングドレス姿の花嫁が姿を現すと、地元住民から歓声があがった。東京都新宿区から移り住んだ金井啓太さん(27)、萌さん(27)夫妻の自宅で先月あった結婚記念の写真撮影会。長男の遊亀ちゃん(1)を自然の中で育てたいと移ってきた二人を住民たちが温かく迎え、見守っている。

 昨秋からの和木町での生活を「都会には無かった近所とのふれあいが一番大きく変わったこと」と振り返る夫妻は翻訳で生計を立てる。「電子メールとFAXのやりとりで仕事は可能。現代だからこそできる暮らしです」と萌さん。

 和木町には〇六年度末で四十一世帯百十四人が暮らしていたが、高齢化率は41%で、高齢化率50%以上とされる「限界集落」手前の状態だった。自治会長の谷口和紀さん(60)は「小学生が町内からいなくなってしまう心配があった」という。危機感をバネに自治会は〇七年度、「府地域力再生プロジェクト」の支援を受け、高齢化に歯止めをかけるため「人口ピラミッド再生事業」に乗り出した。

 定住者の呼び込みに成功した徳島県の漁村の視察で、空き家を地元住民が持ち主に代わって改修する取り組みを知り、実行。さっそく陶芸家の一家が移り住んできた。地域内外の人を集めた交流会も開催し、地域の祭りなどと合わせて、各住民が親せきや知人などに案内チラシを送り、参加を呼びかけてきた。

特産の梅が軸

 また、特産の梅の加工品売り出しに奈良市にも出かけた。梅は和木町農林業振興組合が二十年ほど前から植え始め、加工品の製造販売や花をめでる梅まつりの実施など集落の活性化を支える大きな核となっている。組合女性部長の和久眞佐代さん(68)は「梅が町のPRにつながり、加工品づくりは地域の女性交流につながっている」と成果を語る。

 昨年五月に開設した市の「あやべ定住サポート総合窓口」も定住希望者と地域、空き家をつなぐ役目を果たし、金井さんら二組の和木町への移住が実現した。京都市から移住し農業に携わる橋本登美雄さん(37)は「住民の仲が良いと聞き、移住の決め手になった」と話す。窓口担当者は「移住が進む地域は危機意識をもち、新たな人を呼び込むために人や組織が動いている」と強調する。

 Uターンの一世帯もあり、〇九年三月末の高齢化率は37・8%に。谷口さんは「町内に空き家がなくなった。新築を抑制する市街化調整区域指定の見直しが今後の課題」という。人の和が輪を広げる和木町。子どもたちの遊ぶ声も地域に広がっている。

【2009年4月15日掲載】